家族の孤独死もありえる…孤独死で空き家となった際の対応方法について徹底解説


少子高齢化、地方の過疎化、核家族化…こうした状況が加速する現代の日本で、一人暮らしをする高齢者が増えています。内閣府の調査によれば、65歳以上の単身者世帯(独居高齢者)は2000年には300万人であったのが、2015年には約600万人と倍増しているのです。(※)。
この状況で同じく増えているのが「孤独死」。かつてはご近所づきあいも盛んで、子供や親戚の行き来なども多かった人間関係も希薄になり、誰にも看取られることなくお一人で亡くなっていくケースが急増しています。住人の孤独死によって空き家となった家はどうなるのでしょうか。

孤独死は高齢者だけではない

最近になってニュースにも取りざたされるようになり、孤独死は知られるようになりました。孤独死というと、高齢者に多いと言われていますが、若い人でもありえることです。20代から50代の現役世代でも孤独死はあるのです。

現代社会の象徴とも言える孤独死

高齢化が進み、一人暮らしをする人が増え、孤独死は現代社会を象徴する現象と言えるでしょう。隣人とのつきあいが希薄になり地域コミュニティでの孤立、少子化による子供減少や核家族化などによって、身内同士のつながりの希薄化。日本社会がこのように変化し、人とのつきあいが薄くなった結果として、孤独死は増えています。

現役世代での孤独死も増えています。現役世代というと働き盛りの世代ですが、年を重ねれば仕事での責任は増えていき、やらなければいけないことも増えます。このような状況によって、忙しくなり、身内や知人との連絡がなくなり、次第に人付き合いが希薄になっていくのです。

また中には、糖尿病などの病気を患う方もいます。そうなると仕事が難しくなり、退職となると、再就職がしにくくなり、最後に引きこもってしまうのです。特に40代や50代の方となると、一度退職すると再就職は難しいです。そんな中で次第に引きこもり、地域でのつきあいも薄れ、孤独死となるケースがあるのです。

孤独死の事例

・54歳男性が孤独死

神奈川県藤沢市にあるマンションで、一人暮らしの54歳の男性が亡くなっているのが見つかりました。死因は、肝硬変による心臓発作です。男性は糖尿病を煩い、会社を退職し、就職先が見つからず引きこもりとなり、孤独死したと考えられます。

参照元:“現役世代” なぜ孤立死?|けさのクローズアップ|NHKニュース おはよう日本

・60歳男性が孤独死

宮城県若林区にある公営住宅で、一人暮らしの60歳の男性が亡くなっているのが見つかりました。遺体は傷みが激しく、死因は不明です。男性は町内会に入っておらず、近隣住民とのつきあいもほとんどなかったと言われています。玄関先に郵便物が溜まり、不審に思った近所からの通報により、死亡している男性が発見されました。

参照元:災害公営住宅で男性孤独死か | 河北新報オンラインニュース

孤独死のときの清掃と遺品整理について

清掃

普段からご家族や友人との交流がある方の場合は、病気の発作などが起こったときに助けを呼びやすく、亡くなってしまった場合もそれほど時間が経たないうちに発見に至りますが、一人暮らしをしていた方が、誰にも看取られず家のなかなどでひっそりと亡くなっていく事は珍しいケースではありません。

人間関係が希薄で人との交流がほとんどなかったような方の場合は、亡くなってもすぐには発見されず、しばらくしてから遺体が発見されるということも珍しくありません。そうした場合には「特殊清掃」が必要となります。

遺体から発生したにおいや血液、体液などを、住宅から徹底的に除去するのが特殊清掃です。死後に腐敗が進んでいたケースではそのにおいは強烈なものとなり、室内に入るだけでも大変ということも。そうした状況で、家のなかの付着物やにおいをできる限り取り除いていく特殊清掃は、プロの技術と経験、そしてタフな精神力を必要とする、非常に負担の大きい作業です。

遺品整理

孤独死が発生した住宅では、家におさまっている家具や荷物などをすべて片付ける「遺品整理」を行う必要も生じます。遺品整理は「量」と「内容」の両面で難しいとされる作業です。そもそも、家1軒分の荷物といえば相当な量で、それをすべて片付けるだけでも大きな負担を伴う作業です。さらに遺品整理を難しくしているのは、その分別が非常に難しいこと。

膨大な品々を「貴重品や大切な思い出の品」「リサイクル可能なもの」「返却すべきレンタル品」「ゴミや不用品として処分するもの」などに分けていくのは容易な作業ではありません。高価なものは特に、あとでトラブルに発展しないよう慎重に対応しなければなりません。このように、手間と知識と時間を必要とするのが遺品整理なのです。

特殊清掃の気になる費用

孤独死は、死亡後時間が経ってから発見されることも多いです。数週間後、長いと半年や1年後の発見もあります。人が死亡すると腐敗して悪臭が漂い、血液や体液が床に流れ出します。そのような現場を綺麗に清掃するのが特殊清掃です。

特殊清掃とは?

死亡後数週間から数ヶ月経ってから発見された遺体は、腐敗が激しいです。そのために遺体からの悪臭、さらに流れ出た体液や血液が床に染みこみ、部屋から遺体を運ぶだけでは、部屋が悪臭と汚れで酷い状態です。そのままでは近隣から苦情が発生し、賃貸物件であれば部屋として使えません。そこで特殊清掃を行い、部屋全体を綺麗にして原状回復します。

特殊清掃としては、部屋にある遺品や家具、ゴミの撤去、体液や血液の染みこんだ床の撤去、さらに悪臭が酷いなら壁紙の撤去です。その後専門業者によって、床や壁紙を貼り替えます。

費用相場

特殊清掃の基本費用は以下の通りです。

・1DK : 6万円
・3DK : 18万円
・5LDK : 25万円

これに、処分費用とオプション費用がかかります。処分費は家財処分費用、オプション費用は部屋の消毒や悪臭除去の費用です。業者によって多少違いますが、どのような現場でも基本費用はほとんど変わりません。

死亡後日数が経っている現場ほど、特殊清掃費用は高くなります。それは遺体の腐敗臭、床に染みついた体液や血液を取り除く費用が高くなるからです。たとえば、1DKの部屋でも、死亡後半年の遺体のある部屋の特殊清掃では、100万円程度になる場合もあります。

孤独死で不動産が負の遺産になることも…

地元で暮らしていた親御さんが亡くなり、実家を相続することになったという方も多いのではないでしょうか。不動産の相続というと大きな財産のように思われますが、今の日本では空き家が“重荷”になることが少なくないのです。

空き家を相続しても、維持するには修繕費用がかかりますし、放置して廃屋同然の「特定空き家」に認定されてしまうと固定資産税の優遇措置を受けられなくなります。解体するにも費用がかかり、条件によっては売却も容易ではありません。

さらに、住んでいたご家族が孤独死し時間が経ってから発見されたようなケースでは、前述のように遺品整理や特殊清掃が必要となり、「事故物件」として扱われれば賃貸や売却が非常に難しくなります。そうなれば、不動産というせっかくの遺産も、かえって“負債”になってしまうこともあるのです。

孤独死で空き家になった物件も売却可能

孤独死によって空き家になった不動産は、もちろん売却することができます。ただし、その場合に気をつけなければいけないのが、「事故物件として扱われるかどうか」「孤独死が起こったことを伝えるべきかどうか」という点です。

一般的に、自殺や殺人、火災などの事故といったような理由で亡くなった方が出た家は「事故物件」として扱われますが、事件性のない理由であっても孤独死が発生した場合も「事故物件」に該当することが多いのです。

物件を売る際、売り主は買い主に対して「事故物件の心理的瑕疵」を告知すべきとされており、孤独死はここに関連してくることになります。説明責任の範囲に明確な決まりはありませんが、下手に隠そうとすればのちのち損害賠償請求などのトラブルになることも。

それならば、空き家を解体して更地にすればいいかといえば、そうとは限りません。安易な判断は禁物ですので、信頼できる不動産会社や自治体の窓口などに相談して、誠実に対応を進めることが大切です。

孤独死で空き家となった物件を少しでも高く売却するには?

孤独死が発生して空き家となった住宅を売却しようと考える場合、それほど高い売却価格は望めないだろうと覚悟する一方で、1円でも高く売りたいと考える方が多いのではないでしょうか。

そこで大切なのは、「事故物件を専門に扱う業者」に物件の買い取りをもちかけることです。一般的な不動産会社は、事故物件の取り扱いを嫌がる傾向があり、買い取り価格の査定に応じても不当に低い評価になりがちです。

しかし、事故物件を積極的に取り扱っている会社では、事故物件の売買に関する経験が豊富で、ノウハウも蓄積しています。ですから、適切な価格で売却できるという前提のもとで、一般的な会社より高い査定額をつける可能性が高まるのです。

不動産会社に仲介を依頼して売却しようと考える場合は、不動産会社の選択肢をできるだけ広げ、広範囲で売買が可能となるように仲介業者を選びましょう。買い手を探す範囲を広げることで、1円でも高く売る可能性を高めるというわけです。

いずれの場合も、複数の会社に査定を依頼して比較検討することで、買い取り価格を高くできるチャンスを生みやすくなります。その点を考慮して、依頼先を検討しましょう。

孤独死から空き家へ…相続人のいない不動産はどこへいくのか?

基本的に、亡くなった方の財産は、配偶者や子供、孫、親や祖父母といった親族が法定相続人となり、遺産を相続することになります。しかし、生涯未婚率が高まる日本では、財産を相続するような身内が誰もいないということもあり得ます。また、身内の方がいても相続を放棄することも。

孤独死した方の法定相続人となる方がいない場合は「相続人不存在」となり、家庭裁判所によって故人の相続財産を管理する「相続財産管理人」が選任されます。通常は地域の弁護士が選任されて相続人を探しますが、それでも見つからなければ、財産は最終的に国庫に帰属します。

なお、身内がいない方でも遺言書を残すことで、お世話になった方や寄付したいと思う団体など任意の相手に財産を残すことができます。遺言書の作成にあたっては、弁護士や行政書士などの専門家に相談するのが安心です。

孤独死を予防するには

孤独死防止の取り組みを行っている自治体や町内会、地域コミュニティもあります。定期的に自宅訪問し、一言二言でも挨拶して、安否を確認するのは効果のある方法でしょう。しかし、隣人などとの付き合いを避ける人もいます。そのような方に対しては、家の様子を見るようにします。

  • 新聞や郵便物が溜まっていないか、配達員が確認する
  • 夜は部屋の電気がついているか確認する
  • 電気やガスの使用状態を確認する

民生委員が訪問するのでも良いですが、人と会いたくないという人もいるでしょう。見守りサービスもあるので、そのようなサービスも利用できます。最終的には、地域や隣人と普段のつきあいをどう確保するかが、孤独死防止に繋がるのでしょう。

おわりに

超高齢化社会を迎える日本では、独居老人の存在や、ひいては孤独死という状態が残念ながら珍しくなくなりました。家の所有者が孤独死を迎えた場合、その家は空き家になります。そうなれば亡くなった方のご遺族は、空き家の維持か解体、売却など、何らかの対応をしなければなりません。

自身のご家族にこうした事態が起こることはあまり考えたくないものですが、地元のマイホームで親御さんが一人暮らしている方の場合は、万が一の事態に備えてさまざまな可能性を考慮し、準備しておくと安心して過ごせますよ。

(※)参照元:1 高齢者の家族と世帯|平成29年版高齢社会白書(全体版) – 内閣府


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