産業廃棄物のマニフェスト制度は解体工事に大いに関係する! トラブルに遭わないための基礎知識


「産業廃棄物」と聞くと「普通に生活している自分には関係ない」と思うかもしれません。しかし、所有する家などの建物を解体する方や、不用品の処分を業者に依頼しようと考えている方にとっては、「産業廃棄物」は無関係といい切れる問題ではありません。

たとえば、家などの建物の解体を解体事業者(解体業者)に依頼して解体工事が実行されると、多くの解体ごみが出ます。そうしたごみは「産業廃棄物」として解体業者が処分することになるのです。その産業廃棄物と処分方法は解体工事を依頼した施主にも決して無関係なものではなく、対応を間違えるとトラブルに見舞われることもあるのです。

産業廃棄物のマニフェスト制度の概要

解体工事などで出た産業廃棄物は、適切な方法で処分しなければなりません。その処理の実行を確認するための制度が「マニフェスト制度」。「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」とは、産業廃棄物の処理過程を記録するための書類のことです。

産業廃棄物の処分の多くは、排出事業者(解体の場合は解体業者)から中間業者、最終的な処分を受け持つ業者へというように、さまざまな事業者へ委託され処分が進んでいきます。かつてはその過程で不法投棄されることが多く、環境汚染などの問題が深刻化していました。

そこで廃棄物処分の過程を書類できちんと確認できるようにすることで、産業廃棄物の適切な処理を促して不法投棄や環境汚染などの問題を未然に防ぐ…。これが、マニフェスト制度の目的です。

マニフェスト制度には罰則規定があり、マニフェストの発行や記載を怠ったり虚偽を記載するなど義務を果たさず、廃棄物が適正ではない方法で処理された場合には、5年以下の懲役や1000万円以下の罰金が科されます。これは、解体業者や中間業者だけでなく、施主も同様です。

マニフェストの流れ

産業廃棄物の排出事業者には、マニフェストを作成する義務があり、そこには処分する廃棄物の種類や数量、関わる業者の名称などが書かれています。マニフェストは、A票、B1・B2票、C1・C2票、D票、E票の7枚綴りになっており、廃棄物の処理が排出事業者から中間業者、最終業者へと委託される際にマニフェストが渡されます。各業者は、業務が完了したら控えを保存、必要事項を記載・押印して各事業者に返送します。

A票 :排出事業者が控えとして保存する
B1票:運搬業者が廃棄物を処分業者へ運搬したあと、控えとして保存する
B2票:運搬業者が廃棄物を処分業者へ運搬したあと、必要事項を記載・押印し、運搬業者から排出事業者に返送する
C1票:処分業者が廃棄物を処分したあと、控えとして保存する
C2票:処分業者が廃棄物を処分したあと、必要事項を記載・押印し、処分業者から運搬業者に返送する
D票 :処分業者が廃棄物を処分したあと、必要事項を記載・押印し、処分業者から排出事業者に返送する
E票 :最終処分が終了したあと、必要事項を記載・押印し、処分業者から排出事業者に返送する

各票が業者の手元で保存されるだけでなく、工程終了の証明として業者に返送されることで、廃棄物の処分が適正に行われたことを確認できるというわけです。排出事業者には、マニフェストによって廃棄物の適正処分を確認するという義務もあります。

なお解体業者が廃棄物の最終処分までをすべて受け持っている場合や、解体業者が廃棄物の保管場所を有していて複数の解体工事の廃棄物をまとめて処分するような場合は制度の例外とされ、マニフェストは作成されません。

解体工事のマニフェストに関するトラブル

「解体も廃棄物の処分も、業者に頼んだから自分には関係ない」と思う方もおられるかもしれませんが、前述のとおり、マニフェストの遂行は工事を依頼した施主にも決して他人事ではありません。そのため、きちんとした解体業者は施主に対してマニフェストの写しを提出し、廃棄物を適正に処理したことを証明する必要があります。

ところが、なかには「マニフェストは施主には渡せない」と言ったり、ほかの解体工事で発行されたマニフェストに手を加えたコピーを使ってマニフェストを不正に偽造するような業者もあります。そうした悪徳業者が不法投棄した廃棄物から業者ではなく施主が特定されてしまうと、施主が違法行為をしたと疑われてしまったり、施主が罰を科されるといったこともあり得るのです。

マニフェスト制度の違反にならないよう注意しよう

そのようなトラブルに巻き込まれないよう、契約時にはマニフェストの写しを提示するという約束を取り付けましょう。それが約束できないような解体業者は避けるか、自治体などに相談を。また、実際にマニフェストの写しが提示されたら、日付や内容を確認することを怠ってはいけません。少しでも不審に感じたら、マニフェストに記載されている中間業者や処分業者に確認してみましょう。


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