快適度3割アップ!? 押入れの解体&リフォームの費用とDIYでの注意点について
解体工事を依頼するなら!読んでおきたいお役立つコンテンツ
かつての日本の住宅には、寝具や衣類などを収納するスペースである「押入れ」が設置されているのが一般的でした。人が寝られるほどのスペースが床から天井まで空いた状態になっている押入れは、収納としては非常に広く、さまざまなものを収納することができます。
しかし、布団ではなくベッドが多く使われるようになり、衣類の収納の主流もタンスからクローゼットに変わっている現在の日本では、広大な押入れスペースを持て余してしまうことも。もしご自宅に、有効活用できていない押入れがあるならば、押入れの解体・リフォームを検討してみましょう。
目次
押入れの構造とそれぞれの名称について
一般的な押入れは、スペースを取り囲む4面のうち1面がふすまで開け閉めできるようになっており、残りの3面が壁で囲まれています。スペースのなかは、中板(棚板、中段板)で上下2段に仕切られているものが大半です。
中板の四方のうち壁と接する三方には、「雑巾摺り(ぞうきんずり)」と呼ばれる細長い木材がめぐらされています。この雑巾摺りは釘、中板と壁の間にある隙間を隠すように釘付けされています。
中板は木の枠に乗っているようなかたちで上下を仕切っており、その木の枠(横木)の手前側を「前框(まえかまち)」、奥の横木を「後框(うしろかまち)」といいます。前框と後框の間には、「根太(ねだ)」という細い板が縦方向に組み込まれています。
押入れには奥行きがあり、容量が大きいスペースです。上の段にはふだん使っている布団が直接収納されることが多いですが、下の段には衣装ケースや長持ちを収めたうえで、それら収納用品のなかに衣類や書類、使用頻度の低いものなどをしまうという使い方が大半です。
押入れの歴史
ところで「押し入れ」は、一体いつの時代から存在するのでしょうか。
縄文時代・弥生時代
蓙(ござ)や藁(わら)を敷いて、その上で寝ていました。奈良時代になると畳が登場し、寝心地は向上します。この頃は畳を使った枕を使っていたようです。
江戸時代
木綿が登場し、寝袋のような綿入りの着物に入って眠るようになります。この頃は綿布団もありましたが、高級品であり、貴族の寝具だったようです。また江戸時代ぐらいまでは、庶民は紙や藁を使って眠っていました。江戸時代には納戸があり、寝具や生活用具をしまう場所となっており、これが押し入れの始まりかもしれません。ただし、布団は部屋の片隅にたたんでおいておく家が多かったようです。
明治時代~押入れの登場~
海外から安い綿が入ってくるようになり、綿布団が庶民にも浸透し始めます。しかし万年床で布団は敷きっぱなしだったので、カビが生えて悩まされるようになります。
そこで登場したのが押し入れです。明治後期には押し入れが多くの家庭にあり、布団の上げ下げを行い、眠るときだけ床に布団を敷くようになります。綿布団は昭和になって使うような家庭もあったので、押し入れもこの頃に使うようになった家もあります。
戦後間もないころは、綿布団ではなく、藁布団を使っていた家庭もあります。完全に綿布団が日本国民全員に行き渡り、押し入れも各家庭に普及したのは、戦後しばらくしてからでしょう。
押入れの悩みの大多数はカビ
押し入れは窓がなく光が届かず暗く、通気性の悪い場所です。カビは暗くてじめじめした場所を好むので、押し入れはカビが生えやすいです。使わない布団を起きっぱなしにすると、カビが生えているかもしれません。カビはアレルギーの原因になり体に良くありません。押し入れにカビが生えないようにするには、対策が必要です。
なぜカビが生えるのか?
生き物は生命を維持するには水分が必要であり、カビは特に水分を好みます。また、カビは日光の紫外線を浴びると胞子が死滅するので、暗い場所も好きです。このために、暗くて通気性の悪い場所ほど、カビが生えやすいです。
押し入れは日光を取り込む窓がなく、布団を隙間なく置いて通気性が悪くなるため、湿気がこもりやすいです。換気をしないでいると、自然とカビが生えてきます。
カビを除去する方法とは?
押し入れにカビが生えないようにするには、通気性を良くして、湿気がこもらないようにすれば良いでしょう。
効果的な方法
・布団は天日干しして、カビを除去する
・臭いや汚れの酷い布団は洗濯がおすすめ
(クリーニングに出しても良いですが、コインランドリーの大型洗濯機でも可能)
・押し入れにはすのこを置いて、布団と床の間に隙間を作る
・押し入れの中には、除湿器や除湿剤を入れて湿度が高くならないようにする
・押し入れの中にカビが生えていたら、消毒用エタノールで拭いて除去
・木材の中までカビが浸透しているなら、削って木材ごと取り除く
あまりにも通気性の悪い押し入れならば、換気扇を取り付けても良いでしょう。押し入れ用の換気扇もありますが、通常の換気扇を取り付けても構いません。DIYが難しいなら、リフォーム業者に設置を依頼してもいいでしょう。
押入れの解体と一般的なリフォーム費用について
押入れのリフォームに多いのが、「押入れを解体してクローゼットにしたい」「押入れがデッドスペースになっているので、押入れをなくして部屋のスペースに充てたい」といったものでしょう。
押入れをクローゼットに作り替える場合、まずは中板や木の枠、ふすまを外して押入れを解体します。その後、押入れの内装を施してハンガーパイプを設置、ふすまを扉につけかえて、クローゼットに仕立てます。
この場合の費用は、押入れの解体工事も含めて15万円から20万円ほどというのが平均的なものです。押し入れの上部に小さなふすまで仕切られた「天袋」もクローゼットに一体化させる場合や、クローゼットの扉のグレードを上げる場合は、費用が追加になります。
人が歩いて入れるような「ウォークインクローゼット」にするケースでは、費用はもう少し高くなります。また、既存の押入れスペースだけではウォークインクローゼットとしては手狭であり、スペースを拡張してウォークインクローゼットにすることも多く、その場合には30万円から50万円ほどかかることもあります。
押入れリフォームアイディア集
押し入れはクローゼットにリフォームする以外にも、いくつか方法があります。部屋の目的に応じて、リフォームの仕方も変化します。
部屋の一部にする
押し入れの扉や中板を取り外し、部屋の一部として使うリフォーム方法です。収納場所としても、突っ張り棒を使ってオープンスペースの衣類収納スペースにもできます。また机を置けば、前と左右が壁で区切られて、集中して作業ができる場所になります。
ベッドを置く
押し入れの扉や中板を取り除き、空いたスペースにベッドを置きます。扉で区切られたスペースとなるので、眠りやすいベッドが完成するでしょう。スペースが余れば、本棚やカラーボックスを置いて収納場所も確保できます。
トイレにする
トイレをもう1つ作りたい、介護でトイレが部屋に必要となれば、押し入れをトイレとしてリフォーム可能です。押し入れの扉はそのままトイレの扉として使えます。リフォームでは中板を外して、便器を設置し配管を設置、ライトを取り付ければ完成です。
押入れの解体をDIYでする際の注意点
「押入れの解体は大変な工事になるのではないか」「押入れを解体して、部屋や家自体は大丈夫なのか」と不安に感じる方もおられるかもしれません。ところが、実は押入れを解体するだけならそれほど難しい作業ではないのです。
雑巾摺りを止めている釘を抜いて雑巾摺りを外したら、中板と根太を固定している釘を引き抜いて中板を取り外します。根太や前框・後框も同じように、釘を引き抜いてそれぞれ外します。釘は反対側を叩くと抜きやすくなります。ネジ止めされていたらドライバーで外しましょう。
これで中段がなくなり、スペースが広がります。釘を引き抜く際はけがをしないように気をつけましょう。また、押入れの床板は薄く下地がしっかりしていないことも多いので、作業スペースにする場合は厚い板を敷くか工事などで補強するのを忘れずに。
おわりに
広い収納スペースである押入れは、布団だけでなくたくさんのものをしまうことができます。しかし反面、奥行きがある分、押入れの奥のほうにしまい込んだものが何だったか忘れてしまう、一度出したら再び収納するのが面倒になる、といった不便を感じることも。
せっかく押入れスペースがあっても活用が難しいとお考えの方は、押入れを解体してリフォームすることを検討してみてはいかがでしょうか。お金をかけたくないという方は、自分で中段を取り外すDIYから始めるのもおすすめです。