さらば汲み取り式トイレ！知られていないトイレの解体方法と解体費用について紹介します。

2019.01.10

昔は汲み取り式が一般的であった日本のトイレは、下水道の整備が進むにつれて水洗式が普及していくようになりました。和式であった便器も洋式便器が当たり前になり、今では温水洗浄便座や節水トイレも広く使われています。そんな日本は、“トイレ先進国”ともいわれています。

一方で、築数十年の住宅では今も古いタイプのトイレが使われていることも珍しくありません。便利で使いやすいトイレにするためにトイレをリフォームするには古いトイレの解体工事が必要ですが、トイレの解体工事はどのように行われるのでしょうか。

トイレの解体工事というと、トイレの便座を取り外して撤去するような、どちらかというと簡単な工事を想像するかもしれませんが、実はトイレの解体工事は非常に大変な作業です。特に、築年数が数十年経過しているような古い住宅のトイレの解体工事は容易ではありません。

トイレの床や汲み取り式トイレの便槽がコンクリートでできており、その上にタイルが敷き詰められているようなタイプの場合は、敷き詰められたタイルをすべて取り除き、コンクリートを壊して撤去しなければなりません。

さらに、その床の下には砂が敷き詰められており、その砂をすべて掘り出すのも一苦労です。床から一段上がったところに和式のトイレが設置されているような場合は、その段差の下にも多くの砂が使われていますから、それだけ手がかかります。

汲み取り式トイレでは、溜まった排泄物や汚泥をすべて汲み取ってきれいに清掃・消毒しておかないと、解体工事を行うことができません。汲み取り式から浄化槽式の水洗トイレへ移行した住宅では、浄化槽の改定・撤去も必要となります。

トイレの解体工事を行うには、まずは壁のクロスやタイルをすべて取り除いて壁を解体します。古いトイレでは砂壁の上にタイルやクロスが貼られているものが多く、クロスやタイルをはがして砂壁を崩していくのです。そして、前述のようにコンクリートを解体して砂の掘り出しを行います。

トイレの便座の取り外し方は、種類や設置状況によってさまざまです。一般的に最初に行うのは、止水栓・水道の元栓を閉めてタンクに溜まっている水をすべて流し去り、トイレのタンク・給水管を取り外すこと。給水管を外すとタンクの支えがなくなるため、落下しないよう注意が必要です。

一般的な和式トイレの場合、便器の周りの床を解体しないと便器を取り外せるようにならないことが多いので、床を解体してから和式便器を取り外します。トイレを撤去したあとの排水管からは悪臭が漏れるため、蓋をかぶせるなどしてにおいを防止します。

一般的な洋式トイレでは、ボルトやネジなどをすべて取り外して便器を撤去すると、トイレと床・排水管を接続する「フランジ」「ガスケット」などのパーツが出てきます。これらもすべて取り除き、排水管に続く穴をふさいで悪臭を防止します。

トイレの解体工事は狭いスペースで行うため、重機を使って効率的に行うということが難しく、ハンマーなどの道具を使って人手で行われることが大半です。解体工事で出た瓦礫などの廃材も「まとめて一度で搬出」「大人数で搬出」といったことが難しく、少しずつ運び出さなくてはいけません。

そのため、トイレの解体工事では工事期間や人件費がかさみがちです。比較的新しい洋式トイレの便器を取り除くだけなら短時間で終了することもありますが、古い和式トイレで壁や床まですべて解体するようなケースでは数日に及ぶことも。

工事にかかる費用もケースバイケースで、トイレ本体の取り外しのみでは、和式トイレの場合で２万円から３万円程度、洋式トイレの場合で３万円から４万円程度が相場とされています。しかし実際には、これに加えて廃材の処分費用や工事のための養生費用、電気設備や給排水設備の工事費用などが加わることになります。

汲み取り式の便槽を解体する場合には、解体費用に加えて事前の汲み取り作業で3万円前後、清掃・消毒作業で2万円程度を見込んでおく必要があります。浄化槽の撤去は、5万円から7万円ほどかかることが多いです。こうした「トイレ本体以外の費用」について注意する必要があるでしょう。

最新式のトイレは使いやすさを考慮したさまざまな機能が盛り込まれており、昔ながらの和式トイレから最新式の洋式トイレにリフォームすれば、その快適性は相当上がること請け合いです。そのために必要なのが、トイレの解体工事。

トイレの便器を入れ替えるだけというリフォームもありますが、古い住宅ではトイレのスペース全体をリフォームしないと古い便器を取り外せないことも多々あります。安全に解体工事を行うには、専門家に相談しながら進めましょう。

さらば汲み取り式トイレ！ 知られていないトイレの解体方法と解体費用について紹介します。