相続した家がまさかのゴミ屋敷だった!! ゴミ屋敷のゴミの撤去費用と解体工事について

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テレビのニュース番組で、建物の内外にゴミの山が積み上げられている「ゴミ屋敷」に関する話題を目にしたことがあるという方は多いのではないでしょうか。ゴミ屋敷の存在は、今やごく一部の珍しい出来事ではなく、深刻な社会問題と化しています。

地元で親御さんが暮らす実家がいつの間にかゴミ屋敷になってしまっていた…!ご家族が亡くなり、相続した家がゴミ屋敷だった…!ゴミの撤去や家の解体工事はどうしたらいいのでしょうか。

ゴミ屋敷の放置は厳禁! ゴミ屋敷条例について

住んでいる方のストレスや肉体的・精神的疾患など、さまざまな要因で起こる住居のゴミ屋敷化。積み上げられたゴミは、健康被害や建物の劣化、火災の危険性を生むばかりでなく、悪臭や害虫・害獣の発生源となり、お住まいの方はもちろん近隣住民の方にも被害が及ぶことが多々あります。

こうしたゴミ屋敷による被害や近隣トラブルは日本の各地で発生しており、深刻な社会問題と化しています。そこで事態を重く見た自治体は、行政が介入してゴミの強制撤去を行うといった対策を講じられるよう、条例を制定・施行しました。これが「ゴミ屋敷条例」です。

ゴミ屋敷条例というのは通称で、実際の名称は条例を定めている自治体によって異なります。ゴミ屋敷条例を定める自治体は増えており、指導や命令に従わない場合には強制撤去や氏名公表、過料の徴収などを行うことができるような内容になっています。

増え続ける行政代執行

ゴミ屋敷条例の内容は自治体によって異なりますが、各自治体はその定めにしたがって後述するような数々のプロセスを踏み、ゴミ屋敷の解決に向けて動きます。それでも解決しない場合の最終手段が「行政代執行」です。

行政代執行では、ゴミの撤去を行わない住民に代わって行政がゴミを強制的に撤去します。ゴミの撤去にかかった費用は、行政が住民に請求することになります。日本で初めて、ゴミ屋敷条例に基づく行政代執行が行われたのは、2015年京都市でのことでした。

以来、行政代執行の事例は全国で増加しつつあります。行政代執行はあくまで最終手段であり、実施は容易なことではありません。加えて、これだけでゴミ屋敷の問題が解決するとは限らないことも多々あります。

それでも、ゴミ屋敷の被害を受けている近隣住民にとっては問題解決の期待が高まる注目の対策であり、ゴミ屋敷自体も増加の一途をたどっていることから、現在では数々の行政代執行の事例が生じています。

行政代執行になるまでの流れ

自治体によるゴミ屋敷条例に基づいた対応は、自治体がゴミ屋敷の存在を把握するところから始まります。近隣の住民から通報を受けるなどして自治体がゴミ屋敷の存在を把握すると、自治体は状況を調査し、必要な対策を検討します。

調査の結果、ゴミの撤去が必要と判断された場合、自治体はゴミ屋敷の所有者に対して改善に向けた指導・勧告を行います。ゴミを撤去するには費用がかかりますが、自治体がその際の経済的支援を提案することも少なくありません。

この過程で、自治体の調査や指導・勧告にしたがわない場合は、氏名などの情報が公表されることもあります。それでも問題が改善されない場合、自治体はゴミ屋敷の所有者に対して撤去命令を下します。

そうしたプロセスを経てもゴミが撤去されない場合には、最終手段として、行政代執行によるゴミの強制撤去が行われるということになります。

条例のない地域も…困難な取り締まり

こうした対応を可能にするゴミ屋敷条例は、ゴミ屋敷の問題で損害を受けている周辺住民にとっては“希望の光”ともいえる存在です。しかし、ゴミ屋敷条例は決して万能の法律ではないのです。

そもそも、周囲から見れば「ゴミ」であっても、所有者にとっては「ゴミ」ではないかもしれませんし、法的には所有者の「財産」です。この線引きは非常に難しく、憲法で個人の財産権を保障している日本ではゴミの強制撤去を行う際の高いハードルとなっています。

ゴミ屋敷条例は、前述のとおり各地域の自治体が定めた条例で、国の法律ではないというのもこの点からきています。したがって、現状の日本では、ゴミ屋敷を直接的に取り締まることができる法律は存在せず、対応が個々の自治体に一任されているというわけです。

ゴミ屋敷条例があっても税金で対応することに異論を唱える納税者もいますし、ゴミ屋敷条例が制定されていない地域もまだまだ多く存在します。ゴミ屋敷条例の制定自治体が増え、行政代執行の事例が増えつつあるとはいっても、ゴミ屋敷の取り締まりはさまざまな面で困難であるのが実状なのです。

ゴミ屋敷はまるごと解体業者に頼めるのか?

もしもゴミ屋敷となってしまった家を相続することになったら、いずれにしてもゴミをそのままにしておくわけにはいきません。その家を解体するにしても、ゴミをすべて処分する必要があります。その場合、ゴミの処分から解体工事までを解体業者に依頼することはできるのでしょうか。

結論からいうと、ゴミの依頼を解体業者に依頼することはできません。解体業者では、解体工事で出るコンクリートや瓦礫、木材といった廃材は産業廃棄物として処分できますが、家の不用品や家財道具などは一般廃棄物に分類され、解体業者では処分できない決まりなのです。

解体業者が仲介してほかの業者に不用品の処分を依頼するというかたちで、解体業者にまるごと依頼できるケースもありますが、そうすると処分費用が高額になってしまうことが多いので、きちんと確認しましょう。

気になるゴミ処分費用について

費用の面でも、ゴミの処分を適切に終えるためにも、ゴミの処分は不用品回収業者に頼むのが安心です。その場合、「品目を一つひとつ指定して回収を依頼する方法」と「トラックの大きさを指定して、それに載せられるだけの不用品を回収してもらう方法」があります。

ゴミ屋敷のゴミ処分ともなれば量も多く、分別も困難ですから、後者の方法で頼むのが大半です。軽トラック1台を頼む場合は1万円から2万円ほど、2tトラック1台では3万円から5万円程度というのが一般的な費用の相場です。

とはいえ、ゴミ屋敷のゴミの量は膨大で、トラックが何台も必要になることは珍しくありません。そのため、片付ける部屋の大きさに応じて料金設定されるケースもありますが、1DKで4万円から15万円、1LDK・2DKで6万5000円から20万円以上と幅があります。

家の中に大きな不用品がある場合、荷物の運び出しを手伝う必要が生じることも。見積もりの際には当日依頼する範囲や来てもらえる人数などをきちんと伝え、そのうえで相見積もりをとるなどして費用とサービスを比較しましょう。

おわりに

ゴミ屋敷のゴミを処分しなければならないとなったら、膨大なゴミの山を前にして途方に暮れてしまうかもしれません。どうにかして早く家を解体したいと思う場合はなおさらでしょう。でも、適切な業者に依頼すればゴミは処分することができます。

不用品の回収業者を探すには、インターネットで探したい地域名をキーワードに「ゴミ屋敷 処分」などで検索してみましょう。どこに頼んでいいかわからないという場合は、自治体や解体業者に相談してみるという選択肢もあります。

依頼する前には複数の業者に見積もりを出してもらい、費用はもちろん対応の質や信頼できるかどうかについても比較して、信頼できる業者を選ぶことが大切です。

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