別荘ブームも終息。別荘や、遠隔地に所有する建物を解体する際に忘れてはいけないポイント
解体工事を依頼するなら!読んでおきたいお役立つコンテンツ
清里、軽井沢、熱海、六甲…こうした地域はかつては別荘地として人気を集め、数多くの別荘が建てられていきました。ふだんは都市部など別の地域に住んでいる別荘オーナーは、夏は避暑に、冬はスキーにと、季節ごとに別荘を訪れて休暇を満喫していたのです。
しかし、そんな別荘ブームも終息し、今では誰も使わなくなった別荘が廃墟同然になって放置されてしまっています。そこから増えているのが、別荘を解体したいというニーズです。居住地域から遠くにある建物を解体する場合には、どのような点に気をつければいいのでしょうか。
目次
別荘解体が増えた背景とは?
高度経済成長やバブル景気で勢いのあった日本では“別荘ブーム”が起こり、「避暑地」「別荘地」といわれるような地域に次々と新たな別荘が建てられました。そうした地域は日常生活を送る場所とは遠く離れており、人々は遠出して休暇を楽しんでいたのです。
ところが別荘ブームが終息を迎え、日本の景気も悪化するようになると、人々は別荘に気軽に出向く余裕もなくなり、別荘は管理もなされず放置されるようになってしまいました。
別荘ブームが起こっていた1970年代前後に建てられた別荘はすでに築数十年が経過しており、その間も雨風や雪などの悪天候にさらされています。動物の被害に遭っている建物も少なくありません。
そうして廃墟同然と化してしまった別荘は、そのままでは高く売ることも難しいもの。修繕するにも費用がかかりますし、そのまま放置しておいて万一事故が起こってしまえば責任問題に発展してしまいます。
そこで、「別荘を解体して更地にして売りに出したい」「問題が起こる前に別荘を解体せざるを得ない」と考える別荘オーナーが増えているのです。
別荘があることでのメリット・デメリット
別荘の所有には、メリットのみならずデメリットも発生します。購入の際には、慎重になる必要があるでしょう。
別荘所有のメリット
別荘は自分がいつも住んでいる家とは別に持つ家のことです。
多くは避暑地や風光明媚な場所に建設し、いつでも気軽にいける旅館のような使い方ができます。週末だけ訪れる、夏の休み期間だけ訪れるなどと、夏休みに旅行に行くような気持ちで別荘を使うことができます。
また定住する家ではないので、自分好みに家を設計して建てられます。外の景色が眺められるテラスを作る、ホームシアターの部屋を作るようなことも可能です。別荘があれば、日々の疲れを癒す自分だけの空間を持てます。昔は裕福な人が持つようなイメージがありましたが、今はリーズナブルに売り出されている別荘も多いようです。
別荘所有のデメリット
別荘を持つとなると、土地や建物の購入費が必要です。
もしも今自宅の住宅ローンを支払っているとなれば、別荘購入費用も支払わないとならず、二重のコストがかかります。お金がないなら、セカンドハウスローンが使えますが、住宅ローンも支払っていれば、二重のローンになります。
また、別荘は維持管理を考えないとなりません。定住して毎日生活する場所ではないので、訪れたときに掃除をします。もしも長い間訪れないとなれば、定期的に掃除しに行かないとならないでしょう。どのような家にしても1年以上空き家にすると、畳や壁など建物が傷んできます。長く別荘を使うなら、定期的な掃除と管理は必要です。
夢の別荘地が負動産へ
1990年代の高度成長期には、老後の静かな暮らしを考えて、別荘を購入する人も多かったです。当時は、自宅を購入するように、1000万円や2000万円する別荘を買った人もいました。
管理負担が抱える問題
定年を迎えると、別荘までいくのが大変、日頃からの管理ができない、周辺は何もなく不便などということが原因で、別荘を放置する人も出てきました。別荘を管理しなければ庭は雑草が生え放題となり、壁は汚れてひび割れ、部屋は換気がなくカビとホコリが発生します。
数千万円を数十万円で売却…
別荘は所有しているだけで、毎年固定資産税がかかり、コストがかかります。管理できなくなった別荘を二束三文で投げ売りする人もいます。相続税評価額が2000万円なのに相続前に10万円で売るような別荘もあります。まさに夢の不動産が負動産になったのです。
別荘を売りに出して買い手が見つかれば、手放せるのでほっとするでしょう。
日本は人口が減っており、高齢化社会となり、都会の物件でも空き家がある状態です。生活に不便な別荘となると、買い手を見つけるのは都会より大変です。住むとなると、リフォームしないとならない別荘も多いので、買い手に負担をかけます。
解体して更地にして売る
二束三文でも売れないような別荘は、解体して更地にすると売れる場合もあります。管理していない別荘は、屋根は崩れ落ち、室内に動物が住み着いているようなところもあり、そんな別荘を買いたいと思う人はいません。
別荘を更地にすれば、その場所に家を建てたい人に売ることができます。解体費用はかかりますが、いつまでも別荘を所有するよりは良いでしょう。更地であれば、買い主は解体費用を負担する必要はないので、心理的にも売りやすいです。まずは別荘の解体ができるような解体業者を探すことからはじめましょう。
遠方でも必ず立ち会いはすべきである
建物の解体を行う場合は、解体工事を請け負う会社(解体業者)に現地調査・見積もりを依頼し、内容や費用などで合意に至れば契約成立、準備を経て工事へと進めていきます。工事を依頼するオーナーは、現地調査や解体工事に立ち会うのが一般的です。
しかし、多くの場合、別荘はオーナーの居住地から遠く離れた地域に建っており、現場立ち会いのために何度も足を運ぶのは難しいと考えがちです。解体業者にしても、居住地付近で選ぶべきか、別荘のある地域で選ぶべきか迷うこともあるでしょう。
それでも、解体工事に際してはオーナーは立ち会いする必要があります。最低限、現地調査・見積もりには立ち会い、解体する範囲や撤去する不用品などをきちんと伝えておかないと、依頼する作業に食い違いが生じてトラブルのもとになります。
事前の打ち合わせが現地でしっかりなされていれば、工事中の立ち会いはそれほど必要ない場合もあります。ただし、解体工事が完了した際には最終立ち会いを行って、依頼内容どおりの工事がなされたかどうかを確認しましょう。
解体する前に売却も頭に入れて
別荘が老朽化しているとはいえ人が住む分には問題ないと考えられる状態を維持している、あるいはリフォーム・リノベーションを施せば使い勝手がいいというような別荘であれば、「別荘の建物が建っている状態で売却する」という選択肢も検討する価値があります。
一定以上の築年数が経過した別荘をそのままにした状態で売却する場合は「古家付き土地」として売ることが多く、買い手がリフォーム・リノベーションまたは解体工事を行う前提での売却となるため、売却価格は安く設定することになります。
反面、解体工事を行えば多額の解体費用がかかりますし、依頼や立ち会いなどの負担も生じます。加えて、別荘解体後の土地が売れなければ固定資産税が少し高くなってしまいます。そうしたことと差し引きして、安価でもそのまま売却することにメリットがある場合もあるのです。
おわりに
近年の日本では、空き家の増加が問題視されています。放置された別荘も増える一方で、不動産サイトではある別荘が「100円」で売りに出されているとして話題を集めました。別荘のオーナーにとっては、他人事ではないでしょう。
別荘を解体する場合は、適切なタイミングで現地立ち会いのもとで工事を進める必要があります。一方で、古くなった住居の雰囲気を好んで求める買い手も少なくないことから、建物をそのままにして売却するという選択肢も検討してみるといいでしょう。