解体工事中に埋設物が! 気になる追加費用と不当費用を避けるための注意点をお伝えします。
解体工事を依頼するなら!読んでおきたいお役立つコンテンツ
解体工事を行うにあたっては、解体工事を行う業者があらかじめ現場調査を行い、解体する建物や撤去する不用品がどのくらいあるかを確認します。そのうえで、解体工事にどのくらいの日数や費用がかかるかを見積もり、工事を依頼する施主に伝えるのが一般的です。
ところが、事前の見積もりでは確認できなかった“もの”が、工事を始めたあとになって発見されることがあります。それは「地中埋設物」です。地中埋設物とはどのようなものなのでしょうか。また、地中埋設物が発見された場合の対応はどのようになるのでしょうか。
目次
地中埋設物(まいせつぶつ)とは何か?
「地中埋設物」とは、読んで字のごとく地中に埋まっている物で、「地中障害物」とも呼ばれます。具体的には土の中に埋まっている瓦やコンクリート、昔の建物の基礎や大きな岩、タイヤや衣服といったごみなどがあります。
これらは、以前に行われたずさんな工事で廃棄コストを抑えるために埋められたものが多く、地中90センチにもなる建物の基礎部分のさらに下のほうに埋められたうえに重機で圧をかけられています。そのほか、昔使われていた井戸が撤去されず埋められているケースも。
そうした地中埋設物は、地上から見るだけでは発見することができず、解体工事で基礎を撤去する際などに地面を深く掘り起こすことで初めて発見されます。解体業者が地中埋設物を発見したら施主に報告しますが、そのままにしておけば地盤沈下などの原因になりかねず、見つかった以上は撤去する必要が生じるのです。
埋設物の種類4つ
解体工事中には埋設物が見つかることがありますが、その種類はいくつかあります。建物を建てたときの埋設物、さらには土の中に元から埋まっていた物などがあり、その種類は大きく分けると以下の通りです。
建物廃材
コンクリートや木、瓦などのことであり、業界用語ではガラと呼ばれます。これは現在の解体工事で発生する埋設物ではなく、過去の解体でそのまま地中にガラを残してしまったから見つかります。
現在はリサイクル法が改正され、解体工事で発生する埋設物は、分別して処分するよう定められています。しかし昔はリサイクル法がなかったので、地中に建材を埋めて処理するような違法な方法を行う業者がいました。その名残として、解体工事で、地中からガラが出てきます。
鉄筋
鉄筋ビルやマンションなどのあった敷地に建物を建てたような場合は、解体工事中に、地中から鉄筋が出てくることもあります。鉄筋ビルやマンションを解体するときは、その建物の階数が多いほど、鉄筋の撤去費用が高くなり、費用を浮かすために、そのまま地中に埋める業者もいます。そのような場所の埋まった鉄筋が埋設物として出てくるのです。
建物の基礎や杭
建物を建てるときは、最初に基礎を作り地盤を固め、さらに建物重さに耐えられるように杭を打って補強します。基礎は鉄筋コンクリート、杭は木のような簡単なものではなく、金属やコンクリート製です。
杭は地中深く埋まっており、基礎はコンクリートのために、撤去には沢山のお金がかかります。撤去にお金と手間がかかるために、解体工事でそのまま残すような業者もいるのです。基礎や杭もガラと同じく、過去の解体工事で残したので、埋設物として出てきます。
浄化槽
浄化槽とは、生活排水を浄化するための設備です。家庭から出る排水が下水に繋がっていれば浄化槽は必要ありませんが、地方などで下水整備の整っていない場所は、浄化槽を使います。
使用しなくなった浄化槽を、そのまま地中に埋めておくことがあります。本来は掘り出して解体して処分しますが、土や石を入れて埋める業者もいます。そのような土地から、解体工事中に、地中から浄化槽が見つかるのです。
岩石
解体工事では、地中から大きな岩石が出てくることもあります。過去の工事で撤去しようとしても、大きすぎて処分できず、そのまま残すケースがあります。解体工事で見つかれば撤去処分となりますが、解体業者が撤去できないとなれば、専門業者に依頼します。トラックに積めるぐらいの大きさならそのまま運び、大きすぎると割って小さくして運びます。
井戸
現在も井戸を掘って地下水を使用している家庭は多くあり、敷地内に井戸のある家も多数あります。土地を更地にするときは、井戸があれば、適切な方法で取り除き処分しないとなりません。しかしそのまま井戸内部に土などを入れて、埋めてしまう業者もいます。解体工事中に、このような井戸が見つかることもあり、見つかれば撤去処分します。
地中埋設物が出たときの費用は?
地上からは発見できない地中埋設物は、解体工事の事前見積もりには当然含まれておりません。そのため、地中埋設物を撤去するとなった場合には撤去費用が追加で発生することになり、その追加費用は基本的に、工事を依頼した施主の負担となります。
地中埋設物の撤去費用は、地中埋設物がどのようなもので、撤去・廃棄にどのような作業が必要になるかによって異なります。コンクリートガラや瓦、衣服といったように、それほど大きくなく廃棄も比較的容易なものであれば、費用はそれほど高額にはなりません。
以前の建物の基礎や昔使われていた井戸、汚れた水を浄化するための浄化槽など、しっかりした材質で大きさもあるような地中埋設物の場合、撤去費用は高額になることが考え、場合によっては数十万円単位になることもあります。
産業廃棄物の処理
産業廃棄物は、岩石など特殊なものをのぞいて、1立方メートルでいくらと業者で決まっています。相場としての参考価格は以下の通りです。
- ガラ : 12,000円
- 木くず : 5,000円
- 石膏ボード : 12,000円
- レンガや瓦 : 22,000円
- カーペット : 16,000円
- タイル : 25,000円
- サイディング : 25,000円
このようになっており、プラスチックや紙など、他の素材が混ざると費用は高くなります。また運搬費用もかかり、金額は以下の通りです。
- 2トントラック : 18,000円
- 3トンダンプ : 18,000円
- 4トントラック : 25,000円
- 2トンコンテナ : 18,000円
- 4トンコンテナ : 18,000円
不当な請求をされないための注意点
地中埋設物は、いくらしっかり事前調査を行っていてもあとから見つかる可能性を排除しきれません。もし見つかれば撤去せざるを得ず、施主はその追加費用を支払うことになるわけですが、そのことを悪用して不当に請求しようとする業者も存在します。
手口としては、費用相場がよくわかっていない施主に対して高額の費用を請求するケースや、本当は地中埋設物は見つかっていないのに「地中埋設物が発見されたので撤去した」と虚偽の報告をして追加費用を請求するといったケースがあります。
契約書に盛り込む
施主としては、解体工事を業者にしてもらうと、埋設物があるかどうか、よくわからないでしょう。不当に請求があり、わからぬままお金を支払うケースもあります。
不当請求を避けるためには、埋設物が発見されたときは、施主と業者が一緒に確認し、追加費用をいくらにするか決めてから、工事再開という内容を、契約書に盛り込むのも1つの方法です。
契約書に盛り込む内容の一例
工事中に埋没物が見つかるなどの理由で追加費用の発生が見込まれる場合は、工事を一旦中断いたします。施主が追加工事の理由とその内容を確認し納得してから、工事を再開とします。施主の確認なしに工事終了した場合は、追加費用の支払い義務が発生いたしません。
ポイントとしては、埋設物が見つかれば工事をいったん中止する、施主が内容を確認し、追加費用はいくらになるか確かめる、確認無しに工事を行うと追加費用は支払わない、ということを契約書に書くといいでしょう。
不当請求を避けるために
不当な請求を受けることのないよう、解体工事を依頼する際には見積もりの内容に十分注意する必要があります。まず、見積もりがおおまかで細かく聞いても内訳を教えてもらえないような業者や、明らかに安すぎる金額を出してくる業者などは避けたほうが安心です。
見積もりの内容や業者自体を信頼できると思っても、地中埋設物は不測の事態であり、見積もりには含まれていないはずです。そのことを確認したうえで、もし地中埋設物が見つかったらどのような対応になり、費用がどうなるのか、あらかじめ確認しておきましょう。
妥当な場合もある
解体工事中に埋設物が出れば、施主が費用負担し埋設物を業者に撤去してもらいます。先に紹介したような埋設物があれば、追加費用を請求されても妥当と言えるでしょう。
見積もり時には埋設物があるかどうか確かめることは難しく、工事で発見することも多いです。また解体工事中にわき水が出てきたので、処理しながら解体するようなケースでも追加費用は発生し妥当な費用です。
妥当な費用かどうか判断するには、見積もり時に追加費用はどのような時に発生するか、業者に確認するといいでしょう。契約書に例外を規定として盛り込む業者もいるので、例外とは何かを確かめましょう。見積書や契約書を隅々まで施主が確認し、わからないことは業者に質問し、把握しておけば、追加費用が発生し妥当かどうか判断できます。
おわりに
その性質上、解体工事中でないと見つからない地中埋設物は、その撤去対応が「追加」という位置づけになってしまうため、特に費用面でトラブルの種になってしまいやすい要素です。そうした点を巧みについて、不正に費用を請求する悪徳業者がいるのも問題です。
そうしたトラブルを未然に防ぐためには、解体工事を依頼する前から「地中埋設物が見つかるかもしれない」という可能性を念頭に置いて対応することが大切です。信頼できる業者を選ぶのは大前提ですが、追加対応が発生した場合の対応と費用について、業者とあらかじめ話し合っておきましょう。