賃貸物件でも実は重要! 賃貸物件のアスベスト調査と重要事項説明書について
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天然に産出された繊維状の鉱物であるアスベスト(石綿)は、安価で加工しやすく、耐熱性、耐久性、吸湿性、絶縁性などのさまざまな点ですぐれた特性をもつことから、かつては住宅の建材などに多用されてきました。しかし、その健康被害の危険性が知られるようになり、今では実質的に使用が全面禁止されています。
そのため、これから建つ新築物件にアスベストが使われる心配はありませんが、築年数が経過している住宅ではアスベストを含む建材が使われている可能性もあります。それは、賃貸の物件に住む方にとっても他人事ではありません。
賃貸物件のアスベスト調査が重要な理由とは?
アスベストの健康被害は、その繊維が空気中に飛び散ることから始まります。空気中に飛散したアスベストを吸い込んでしまうと、それが分解されないまま体内にとどまり、肺がんや中皮腫といった非常に重い健康被害を招いてしまうのです。
アスベストの飛散のしやすさはアスベストが使われた建材の性質や状態によって異なり、家にアスベストが使われているからといってすぐに健康被害が及ぶとは限りません。それでも、長い時間を過ごす家でアスベストが使われているとなれば、健康被害のリスクはゼロではありません。
そのリスクは、住宅を買う場合でも借りる場合でも同じこと。中古物件を購入する際にアスベストの使用状況を調査する必要があることはよく知られていますが、賃貸物件を借りる際にもアスベストの使用状況を確認しておくことは非常に大切です。
重要事項説明書とは?
それでは、賃貸物件を契約するにあたってアスベストの使用状況を確認するには、どうしたらいいのでしょうか。その答えを知るために、まずは「重要事項説明書」について理解しておきましょう。
「重要事項説明書」とは、賃貸物件の賃貸借契約を取り交わすにあたって契約内容を要約した書類のことで、契約内容の特に重要な部分を確認しやすくしたものです。契約手続きに際しては、宅地建物取引士の資格を有する担当者が重要事項説明書の内容を必ず説明することと義務づけられています。
物件を借りる方は、不動産会社などの宅地建物取引士から「この契約では、このような物件を、こういう条件で借りるという契約です」といった説明を受けます。理解できない点があれば質問し、納得できたところで実際の契約に移るという順番で契約手続きが進んでいきます。
賃貸物件の契約における重要事項説明では、敷金トラブルを防止するために特約を確認しておくというのが重要なポイントとされることが多いですが、アスベストの状況についてもこの重要事項説明で確認することができるのです。
重要事項説明書とアスベスト調査の関係
この重要事項説明書では、記載すべき項目がいろいろ定められていますが、アスベストについてもその一つとされています。ただし、重要事項説明書に記載されるのは、「アスベストの使用調査を行ったかどうか」ということです。
賃貸物件においては、アスベストが使われているかどうかを調査する義務が課されていないのが現状です。そのため、賃貸物件を所有しているオーナーがアスベストの使用状況を調査していないということが少なくないのです。
その物件でアスベスト調査が行われており、その調査記録が残っている場合、重要事項説明書ではその内容について説明する義務があります。しかしながら、調査自体が行われていない場合には、そのことのみが書面に記載されるということになります。
おわりに
アスベストは、屋根材や外壁材、断熱材や吹き付け材といったさまざまな形態の建材に使われていました。そして、その使われ方と現在の状況によって、アスベストの飛散のしやすさが異なるというのは先に述べたとおりです。
中古物件を購入してリフォームするようなケースでは、解体工事によってアスベストの飛散を招いてしまう危険性も高くなりますが、そのようなことがない賃貸物件の場合は、アスベストの健康被害リスクも比較的低いとはいえるでしょう。
とはいえ、アスベスト含有建材を使って建てられた建物は多岐にわたり、今も数多く残っているとされています。賃貸物件を契約する際には、重要事項説明書を通じて必ず確認しておきたいポイントの一つです。