水撒きを行う解体現場は質が良い! 解体現場の水撒きと近隣への配慮との関係

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解体工事を行う現場では、事前に敷地を養生してしっかり囲い、足場を組み上げるなどして入念に準備を進めます。そして、解体工事を開始するにあたっては、水まき(散水)も行っているところがほとんどです。解体工事の現場で、ホースなどを使って水をまいている姿を見たことがあるという方もおられるのではないでしょうか。

この水まきは暑いから行っているといったものではなく、解体工事と水まきには密接な関係があるのです。「水まきをきちんとしている解体現場は工事の品質がいい」という声も聞かれるほど、この水まきにはきちんとした意味があります。

粉塵だらけの解体現場

木造住宅の解体工事を行う現場では、非常に多くの木材を取り壊すことになり、そこでは大小の木くずが散乱していきます。同じように、壁に使われた石膏ボードを粉砕すれば粉々になった石膏の粉塵が空気中に飛散します。

同じように、屋根、柱、天井、ブロック塀など、建物のさまざまな部分を壊していけば、周辺には建材の細かい破片が飛び交い、埃が舞い散り、粉塵が空気中に飛び散っていくのです。

このように、解体現場と埃・粉塵・粉砕した破片などは切っても切り離せない関係にあります。そこで、解体工事を行う敷地を養生シートで取り囲み、そうした粉塵が飛散していくのを食い止めています。

水撒きの理由と近隣への配慮について

そして、粉塵が舞い散るのをより強固に防ぐための方法が、解体現場で水まきを実施することなのです。多少水をまく程度ではすぐに乾燥してしまいますから、建物を水浸しにするような大量の水を、重機などを用いてまいていくことになります。

住宅の解体工事を実施する際には、電気やガスなどのインフラを一時的に止める手続きをとりますが、水道だけは水まきの必要があることからそのまま使えるようにしていることが多くあります。

こうした養生や水まきを行う理由は、近隣の住民の方々への配慮という観点もあります。特に都市部などの住宅密集地においては、解体現場の周囲をほかの方の家が囲んでいるような状況も少なくありません。

そうした場所で何も対策を施さなければ、解体現場で飛び散った粉塵が近隣の住宅に入り込んだり、洗濯物を埃だらけにしてしまったり、自動車を汚してしまったりすることになります。

解体工事を行う際、騒音や粉塵などの迷惑が近隣の方々にご迷惑をまったくかけないということは難しいものですが、迷惑を最小限におさえる努力はしなければなりません。そのなかで、水まきという方法は非常に有効なのです。

アスベスト含有の建物では更に注意が必要になる

解体工事の現場で養生や水まきを行うのは、法律で必ずしなければならないと定められているものではありません。ですから、義務とはいえず、なかには水まきを行わない解体業者もあります。

とはいえ、厚生労働省では、工事作業を行う現場の粉塵や近隣の外気に含まれる粉塵が一定の許容範囲におさまるよう工夫することを求めています。そのための対策としても、専用の散水設備を使った常時散水などが挙げられているのです。

さらに注意が必要なのが、アスベストを含む建材が使われている建物の解体工事です。非常に細い繊維であるアスベストは空気中に飛散しやすく、そのアスベストを吸い込んで体内に蓄積してしまうと肺がんや悪性中皮腫といった深刻な病気を引き起こすリスクがあります。

このリスクは、工事作業を行う担当者はもちろん、近隣の住民の方々にも大きな脅威となり得るもの。そこで、アスベストが使われた建物を解体する際、特にそのアスベストが飛散しやすい状況にあると考えられる場合には、しっかりと水まきを行うなどして除去・解体工事を行う必要があるとされているのです。

おわりに

解体現場でしっかり水まきを行うためには、そのための人員や機材が必要となります。そうしたところにもコストをかけている会社は、ただ取り壊せばいいというのではなく、解体工事の準備から完了までの品質をきちんと考えている業者とみることができます。

なかには、解体費用を安くするために養生や散水対策を省くことを提案する業者もあるかもしれませんが、近隣への迷惑を最低限におさえトラブルを起こさないようにするためには、養生や散水といった対応は不可欠と心得ましょう。

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