3分でわかる! 相続した建物の解体工事と、名義変更前の解体工事の注意点

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「実家の土地と建物を相続したものの、別の地域ですでに生活しており、家庭や仕事の都合もあるためにUターンできる見込みもない。建物も古くなって老朽化が激しいため、空き家になっている住宅を解体したい」そのようなニーズは昨今よく聞かれます。

しかし、相続した建物の解体工事には、解体工事を請け負う施工会社(解体業者)への依頼一つとっても注意すべき点があるということは意外と見落とされがちです。親御さんが亡くなったなどの事情から相続した建物について、解体工事を考える際におさえておきたい点を確認しましょう。

解体前のチェックポイント2点

相続した不動産の名義

解体工事を依頼するときには、基本的にその不動産の名義人が依頼するか、名義人が承諾していることの証明が必要となります。しかし、土地や家屋を相続したばかりの段階では、その不動産の名義は解体工事を依頼するご自身ではないことが多いでしょう。

まずは、法務局に申請して不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)を閲覧し、相続した土地と家屋がそれぞれどなたの名義になっているのかということを確認します。その結果、親御さんの名義であることがわかれば解体工事に向けた手続きも進めやすくなります。一方、不動産の名義が祖父母やほかの親族の方である場合には、必要な手続きが変わってきます。

不動産の新たな所有者

解体工事を行うにあたっては、不動産の名義をどなたに変更するかを決めて、名義変更を行います。相続の対象者が複数人おられる場合で遺言書などがない場合には、関係者で相談して遺産をどのように分割して相続するかを決めることになります。状況に応じて検討し、決定事項は文書で残しましょう。

手続きはプロに任せよう

不動産の相続から登記、建物の解体工事といったことを進めるには、さまざまな法律が関連し、手続きも必要となります。そこで、具体的な手続きについては法律のプロである弁護士や司法書士などの専門家に相談しながら進めるといいでしょう。

相続の問題という観点では弁護士も心強い味方になり得ますし、不動産登記や建物の解体のからむ手続きに関することであれば司法書士に依頼するという選択肢も有効です。そのほか、不動産登記や建物を解体したあとの建物滅失登記については、土地家屋調査士に相談するという選択肢もあります。

こうしたプロフェッショナルに依頼するのは、当然有料です。予算に余裕がない、そうした出費が惜しいと考える方もおられるでしょう。しかし、相続の問題はスムーズに進まないと禍根を残すことにもなりかねませんし、もし手続きのミスが起こってしまえば解体工事も進めにくくなってしまいます。

こんな事例も! 土地と建物の名義人が違うとき

なかには、土地と家屋の名義人がそれぞれ異なり、家屋は亡くなった親御さんの名義であるが土地の名義人が別の方であるというケースもあります。そうした場合も、司法書士などのプロに相談しながら、家屋と土地のそれぞれに対して適切な手続きを行う必要が生じます。

注意したいのは、そうした状態をそのままにして解体工事を無理に進めようとすることです。前述のように、解体工事を依頼する際は、その不動産の名義人であるか、名義人が承諾していることの証明が求められます。不動産の名義変更をしておらず、相続の対象者が複数人おられる場合には、その全員の承諾が必要です。

そうしたリスクを承知していながら解体工事を強行すれば、工事の費用負担や固定資産税の支払い、登記にかかる費用や何かあったときの損害賠償など、心配の種はつきません。

おわりに

不動産の相続や建物の解体工事といった手続きを進めるのは、ただでさえ想像以上に負担が大きくなりがちです。そこへきて、親御さんが亡くなるなどして気持ちも落ち着かないなかで、すべて自分で行おうとすると負担が非常に大きく、思わぬトラブルに発展しかねません。

建物の解体をプロの解体業者に依頼するように、複雑な法律のからむ問題を弁護しや司法書士といったプロに依頼するのは、「時間や安心を買う」という観点もあるのです。また、どこから手を付けたらいいかわからないといった場合には、解体業者に相談してみるのもいいでしょう。

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