山の相続でお悩みの方必見! 山の値段と売却時の注意点について

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国土の約7割を森林(山林)が占める日本は、世界有数の森林国といえます。そして、その広大な山林の半分以上は私有林です。目の前に広がる山林に対して、「こんな山林を所有している人がいるなんてすごいなあ」「こんな財産があったら」と思う方もいらっしゃるでしょう。

しかし、山林の維持・管理は想像以上に大変なものです。さらに、その山林の相続が生じたときにも売却も容易ではなく、一筋縄ではいきません。山の値段とはいくらぐらいなのか、どうすれば少しでも高く売却できるのか、理解を深めておきましょう。

山の値段と相場について

一言で「山林」といっても、その立地や交通の利便性などの状況はさまざまで、そうした特性によって山の売却価格は大きく変わってくることになります。

山林は、市街地の近郊にあり付近の宅地化の影響を受けやすい「都市近郊林地」、いわゆる里山といわれるような農村部の周辺にある「農村林地」、林業が行われている「林業本場林地」、山の奥深くにあり交通の利便性が悪い「山村奥地林地」の4種類に分類されています。

売買価格の相場としては「都市近郊林地」が最も高い傾向にあり、反対に最も安くなりやすいのが「山村奥地林地」です。山林の売買価格の統計上の傾向としては、都市近郊林地が1平方メートルあたりおよそ1000円から5000円弱、農村林地では半分以上が同300円未満、林業本場林地・山村奥地林地の場合大半が同100円未満です。

山林の買い主は個人であることもありますが、林業などに従事する事業者が買うこともありますし、転売目的で購入するというケースも存在します。資金力とも関連するため、価格の高い都市近郊林地は個人以外が購入するケースが少なくないと見られています。

山を売却する際の注意点

山林の売買は、平地の不動産を売買するのと違って注意すべき点がいくつかあります。まず挙げられるのが、「公募面積」で取り引きされるのが通例であるという点でしょう。

通常の不動産を売買する際には、実際に計測した面積である「実測面積」をベースに取り引きを行いますが、広大な山林を対象に測量を行うのは相当なコストがかかります。そこで実測面積ではなく、登記簿に記載された面積である「公募面積」を用いて売買することが多いのです。

そして、その公募面積と実測面積に差異が生じていれば、売り主か買い主かのいずれかが不利益を被ることになるというわけです。山林の場合、公募面積と実測面積に差異が生じることは珍しくありません。

実測面積を測量するとしても、山林では境界線があいまいであることが多いため、まず境界線を確認する作業から始めなければなりません。境界線の確認には隣接する土地の所有者の立ち合いが必要で、日程調整も大変です。

山を高く売るには

立地や木々の状況などによって土地としての利用価値が低くなりがちである山林は、売却価格も安価になることが考えられます。そうしたなかでも、できる限り山を高く売るには、おさえておきたいポイントがあります。

一つは、山林を買いたいと考えている人を探すということです。山林を積極的に買いたいと考える人は決して多くありませんが、そのなかでも極力、自分が持っている山林を強く希望してくれる人を探すのです。

このためには、山林の売買を得意とする不動産会社に協力して頂くことや、山林売買のマッチングを行う斡旋サービスのサポートを受けるといった方法があります。

もう一つは、期間に余裕をもって買い主を探すこと。山林の売買取引は売りたい人と買いたい人が当事者どうしで価格交渉することもよくあります。そこでの価格設定も相場はあってないようなものです。

不動産会社などに仲介してもらうにしても、山林の売買では買い主の意向に重きが置かれがちです。そこで時間があれば、あせらずじっくり自分の希望する価格に近づける交渉などを行うことが可能になります。

おわりに

山林の所有と聞くとうらやましく感じる向きもあるかもしれませんが、山林を所有していれば固定資産税もかかりますし、活用といっても使い道が限られ、売買しようとしてもそう簡単にはいかないことも少なくありません。

管理にかかる出費や負担は軽くないのです。今後、山林の売買にかかわる可能性があれば、こうしたことを理解したうえで山林の売買に対する心構えをしておくとあわてずに済むでしょう。

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