他人事ではない!あなたの近所のマンションは大丈夫?今、限界マンションが急増している

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少子高齢化が加速する日本で、人口の半分以上が高齢者となり、経済的・社会的な共同生活の維持が難しくなっている地域は「限界集落」と呼ばれます。限界集落は山村地域や離島などに多く、若い年代が仕事や就学環境などを求めて都市部に転居することで過疎化が進んでいるという事情が背景にあります。

反対に、都市部でも急増しているのが「限界マンション」です。日々多くの住宅が供給されるなかで、老朽化したマンションが活路を見出せないまま廃墟と化していく……そのようなマンションが首都圏を中心に急増しているのです。

限界マンションとは?

長い期間にわたって住宅を維持するには定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。マンションも長期修繕計画を策定して修繕積立金を集め、点検・修理に備えるのが基本です。しかしなかには、長期修繕計画の策定がおろそかになっていたり、必要な修繕積立金をきちんと集めていないマンションもあります。

そうしたマンションでは、必要な修繕を施すことができず、建物は老朽化する一方。建て替えるといっても資金の捻出は容易ではありません。そのようなマンションは、時が経てば建つほど建物の維持管理が限界に近づいていきます。そうしたマンションは「限界マンション」と呼ばれ、住宅の新規供給の多い首都圏や都市部を中心に急増しているのです。

限界マンションの行く末

限界マンションと呼ばれるような住居は築年数も相当経過していることが多く、入居者も高齢化が進んでいる傾向があります。そうなると、管理組合の役員を務められる人が減っていき、管理組合が十分機能しないという事態も。そうなれば、建物維持に加えてコミュニティ維持も“限界”に近づくことになります。

管理組合による維持管理が停滞し、空き室が増えていくと、マンションのスラム化が始まることになります。そうなれば、売却価格を相当下げても買い手はなかなか見つかりません。解体するといっても、マンションを解体するわけですからそれなりの費用が必要になります。そのまま放置されてしまうと、税金を使っての公費解体という事態に発展することも考えられるでしょう。

あなたの住まいは大丈夫?

国土交通省の発表によれば、老朽化マンションは今後も増加の一途をたどり、2015年には51万戸であった築40年超のマンションが2035年にはおよそ6倍の296万戸にもなるとみられています。好立地のマンションであれば売却や賃貸などの活用も考えやすく、修繕・建て替えのための計画・費用回収も進みやすいでしょう。

しかし、そうでないマンションでは建て替えや修繕も難しく、費用面から解体も困難になることが想定されます。高齢化した入居者は老朽化した建物に住み続けざるを得ず、マンションのスラム化もだまって見ているほかないということにもなりかねません。

そうならないようにするためには、管理組合がきちんと機能していること、マンションを維持管理するための計画策定と積立金の改修が適切に行われていることが必要です。長期修繕計画がきちんと策定されているか、修繕積立金はショートしないか、将来的に建て替えをどのように検討していくのか、といったことを主体的にチェックしておくことが重要でしょう。

おわりに

特定空き家の問題などで注目を集めている「空き家の増加」は戸建てが多いですが、今後は中古マンションの空き家問題、「限界マンション」の増加問題も深刻になっていくとみられています。

自分が所有するマンションが「限界マンション」になってしまったとき、経済的に余裕があれば住み替えることも可能かもしれませんが、限界マンションの売却や賃貸運営は非常に困難です。少子高齢化が進む日本では、住宅の需要自体が減っていきますから、悪条件の物件はどうしても不利になります。

「限界マンション」にならないようにするためのポイントは、「中古物件としての価値を維持する」ということでしょう。建物の維持管理を適切に行い、管理組合の運営などをとおしてコミュニティが機能していることは、物件として必要な条件です。それを満たすための対策が、結果的に限界マンション化を回避することにつながります。

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