解体工事ゴミで東京24区が完成する!? 解体工事で発生する産業廃棄物の墓場「最終処分場」とは?

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  • 産業廃棄物とはどのようなものがあるの?
  • 産業廃棄物はどのように処分されるの?
  • 産業廃棄物の最終処分場とは?

本記事では、解体工事で発生する産業廃棄物に関するこれらの疑問点にお答えします。
解体を行うと必ず「産業廃棄物」が発生します。廃棄物はそのあたりに捨てるわけにはいきません。適切な処理がなされた上で処分されていくことになります。
解体によって発生した廃棄物がどのように処理されるのかを確認していきましょう。

産業廃棄物とは具体的にどんなゴミなの?

産業廃棄物の定義と処理に関するポイントをまとめると以下の通りです。

  • 何を産業廃棄物とするかは廃棄物処理法によって定められている
  • 産業廃棄物は基本的に中間処理場で処分される
  • 中間処理場で処分できなかったものは最終処分場にいくことになる

産業廃棄物は適切に処理をしなくては、公害の発生などにも繋がります。
詳しく確認していきましょう。

何を産業廃棄物とするかは廃棄物処理法によって定められている

解体工事をすると多くのゴミが発生します。これらのゴミは「廃棄物処理法」により、「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の二種に分類されます。
この内、産業廃棄物とは、事業活動によって発生する廃プラスチックなどのゴミのことと定義されています。
解体工事は、解体業者が利益を目的として行なった事業活動です。そのため、解体工事で発生したゴミは「産業廃棄物」となるわけです。
たとえば、解体工事で発生した屋根瓦や木屑、コンクリートの破片といった廃材が産業廃棄物になります。

産業廃棄物は基本的に中間処理場で処分される

解体などで発生した産業廃棄物の大半は「中間処理場」で処分されることになります。中間処理場では、廃棄物を減量して量を減らすだけでなく、有害物質を無害化した上で、リサイクル利用されたりもしています。
廃棄物の形状に応じて、焼却、溶融、脱水、中和などの処理が適切に行われているのです。

中間処理場で処分できなかったものは最終処分場にいくことになる

中間処理場で処分しきれなかったものについては「最終処分場」に行き着くことになります。最終処分場では、処分しきれなかったゴミを周囲の環境に影響を与えない状態にして、「埋め立て処理」をしていきます。
中間処理場ではリサイクル利用など、廃棄物を再利用することも考えられますが、最終処分場のゴミはリサイクルされることはありません。ですから、最終処分場は「ゴミの墓場」とも言われてしまうわけです。最終処分場に来るゴミは、最小限に抑える必要があるといえるでしょう。

ゴミの墓場「最終処分場」について


処分できなかったゴミが最終的に行き着く「最終処分場」について詳しく確認していきましょう。
最終処分場で行われる処理方法は埋め立てです。しかし、産業廃棄物が環境に与える影響がどれくらいかによって、埋め立て方法は変わってきます。

安定型

廃プラスチックなどの、絶対に腐敗したり有害物質が発生したりしない産業廃棄物を埋め立て処分する方法です。
穴を掘り、産業廃棄物を埋めて、土を被せる という単純な埋め立て方法を取ります。

管理型

燃え殻や汚泥といった腐敗する可能性があり、埋め立てると地下水を汚染してしまうゴミを埋め立て処分する方法です。
汚水処理や遮水構造といった水に関する制限を設けた上で埋め立てを行います。

遮断型

有害な化学物質や貴金属といった現代の科学技術では安定化させることのできないゴミを埋め立て処分する方法です。
地下水や公共水域への漏洩を永久的に遮断できる構造設置がなされています。科学技術の発展による新技術に最終処分を託す「無期保管場所」ともいえる埋め立て方法です。

知られていない東京のゴミ埋立地について

東京のゴミ埋立地には、知られざる歴史や現状があるのです。

埋め立ての歴史について

人口が多いとゴミの量も多くなります。東京は、江戸時代に経済の要の土地となり、人口が増えたことで、大量のごみが発生するようになりました。東京では、これらのゴミを東京湾に埋め立てることで処理をしてきたのです。
あまり知られていませんが、現在の東京湾付近の陸地はほとんどがごみによる埋立地なのです。その大きさは2008年に発表された時点で「5,730ヘクタール」にも及びます。この大きさは千代田区・中央区・港区・新宿区の四区を合わせた面積とちょうど同じくらいといえます。

東京都内にあるゴミ埋立地について

江戸時代から東京では、東京湾を埋め立てることでごみを処分してきました。しかし、すでに多くのごみを埋め立てすぎていて、埋立事業は限界に近づいてきているのです。
今では東京都内にあるゴミ埋め立て地は「中央防波堤新海面処分場」を残すのみとなっています。他の埋立地はすでに容量が満杯で使用することができないのです。
そのため、「中央防波堤新海面処分場」の寿命を少しでも延ばすために、「スラグ」と呼ばれる溶解方法でゴミを小さくするなどの対策が取られています。しかし、ごみをゼロにすることは不可能ですから、いずれは都内のゴミ埋め立て地はなくなってしまうといえるのです。

まとめ 解体の際には廃棄物のこともしっかりと意識しよう

解体工事を行うと産業廃棄物をはじめとする大量のごみが発生します。これらのごみのほとんどは中間処理場で処分されます。しかし、例外も存在していて、中間処理場で処理できなかったものは最終処分場に行くことになります。
最終処分場に行ったゴミは埋め立て処分をされることになりますが、大量のごみのせいで埋立地はなくなりつつあるのです。埋立地の寿命を少しでものばすためにはごみの量を減らすだけでなく、ごみのリサイクル利用などが重要となってきます。
解体業者の中には、解体で出たごみを極力リサイクルに回すようにしている業者も存在しているようです。ですから、解体の際には、「その業者がリサイクルにどれくらい力を入れているか」といった廃棄物に関することにも目を向けてみるとより良いでしょう。

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