特定空き家に指定されるデメリットは大きい? 指定されたら解体を要検討

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「空き家対策特別措置法」が施行されたいま、これまでは単なる「空き家」であった住宅も「特定空き家」と指定されてしまうことがあります。

空き家を解体するお金がない、思い出の詰まった家を解体するのはしのびない、固定資産税の軽減措置を受け続けたい…。こうした気持ちから空き家をそのままにしておいたオーナーも、「『特定空き家』の指定を受けてしまうと大きなデメリットがあるらしい」と、その対策を考えはじめている方は少なくありません。

実際、「特定空き家」に指定されてしまうと、どのようなデメリットが生じるのでしょうか。

特定空き家とは?

「空き家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策特別措置法)」の施行を受け、自治体は空き家の状態を調査し問題のある空き家に対して助言・指導を行うことができるようになりました。そうして助言・指導を行っても状況が改善されない空き家は、「特定空き家」の指定を受けることになります。

どのような空き家を「特定空き家」と判断するかはケースバイケースですが、参考となる物的状態の基準があり、国土交通省の「『特定空き家等に対する措置』に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」に記載されています。

保安上危険となる恐れがある

柱が傾いていたり、バルコニーが腐蝕しているなど、建物が倒れたり建材が周辺に飛ぶことによって周囲に危険を及ぼす恐れがあり、その空き家を放置しておくのが危険であると判断される空き家が該当します。

衛生上有害となる恐れがある

ごみが放置されていたり害虫が発生していて近隣の生活に衛生上の被害が及ぶ恐れがある空き家、家に吹き付けられた石綿が飛散して周辺に健康被害を及ぼす懸念がある空き家などが該当します。

景観を著しく損なっている

壁に落書きされたままになっている、窓ガラスが割れたままになっている、地域の景観保全ルールに適合していないといったように、周囲の景観と調和していない空き家が該当します。

周辺の生活環境の保全を図るために放置が不適切である

そのほか、動物が住みついて近隣住民に悪影響を及ぼしていたり、木の枝が道路にはみ出して安全な通行の邪魔になっている空き家が該当します。

特定空き家に指定されることで生じるデメリット

自治体から「特定空き家」と指定されると、空き家の所有者は状態の改善に関する助言・指導を受けます。それでも改善しない場合、自治体から改善の勧告を受けることになります。

従来、住宅が建っている住宅用地については固定資産税の優遇を受け、土地にかかる固定資産税が最大6分の1に軽減されていました。ところが自治体から勧告を受けると、この優遇措置が適用されなくなります。

最終的に改善が見込めない場合は、自治体による「行政代執行」が行われ、空き家は強制的に解体されます。強制撤去の費用は所有者が負担することになり、支払えない場合には財産の差し押さえを受けます。そのうえ地域によっては、行政代執行が実施された空き家の所有者の情報が公開されることもあります。

特定空き家に指定されたら解体したほうがいい?

特定空き家に指定されても、自治体から助言・指導を受けた状況を改善して危険性を下げることができれば、「特定空き家」の指定は解除されます。そのなかには、解体しない選択肢もあります。

家を解体するには解体費用がかかりますし、更地になれば固定資産税の優遇措置は受けられません。空き家の状態や立地がある程度よければ、リフォームして賃貸に出したり、古家付き土地として売却したり、そのまま所有しておくといった選択肢も考えられるでしょう。

空き家の状態がかなり悪く、多少リフォームしても賃貸の入居者や買い手が見つかりそうにない場合は、解体して更地にすることを検討しましょう。古家付き土地より更地のほうが早く高額で売却しやすいというメリットもありますし、駐車場経営という選択肢もあります。空き家問題で煩わされることもなくなるのです。

特定空き家に指定される前に対策を考えておこう

いずれにしても、「特定空き家」の指定を受ける前に何らかの対策を考えておくのが望ましいといえます。まずは空き家の状況を把握し、どの程度傷んでいるか、危険性がないかなどを確認しておきましょう。

そして、解体費用の見積もりを取り寄せたり、解体後の固定資産税を試算するなどして、実際にかかる費用を想定してみましょう。売却する場合の相場や、駐車場にするための工事費用などを調べておくのも有効です。費用を明確にすることで、その後の活用イメージがふくらみやすくなります。

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