解体屋(解体業者)で失敗しない選び方、おさえるべき3つのポイントを比較してみよう!

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家などの建物を解体しようと思ったら、解体工事を請け負う「解体屋(解体業者)」に工事を依頼することになります。大切な建物に多額の費用を投じて解体するのですから、信頼できる解体業者を選びたいと思うことでしょう。

ところが世の中には多くの解体業者があり、なかには高額な費用をだまし取る、工事の際に必要な手順をふまない、廃棄物を不法投棄するといった、いわゆる「悪質業者」もあります。そのような業者と契約してしまうことのないよう解体業者の選定で失敗しないためのポイントを理解しておきましょう。

解体屋とは?

「解体屋」とは、読んで字のごとく「建物や家屋などの構造物を解体する仕事を請け負う事業者」のことで、一般的には「解体業者」と呼ばれ個人の住宅から大きなビルまでさまざまな解体工事を請け負います。

解体屋のはじまりと歴史

解体屋のはじまりは明治時代にさかのぼります。

明治初期

解体屋は明治初期に始まったと言われており、それまでは大工やとび職の人たちが、建物を壊して処分していました。

戦前の日本の家屋は木造建築が多く、解体は工具を使っての手作業でした。コンクリートについても、ノミやハンマーを使って手作業で解体していました。電気配線など専門的な部品も家屋に使われるようになってきたので、戦前にはつり業が誕生し、徐々に定着していきます。

戦後

家族や親戚総出で解体する家もあったようです。戦時中には空襲によって日本の木造建築は消失してしまうので、戦後すぐのころは、家を解体するにしても、使える木があれば大切に壊し、再利用しました。そして徐々に解体用の道具が登場し使われ始めます。最初に登場したのはハンドブレーカーです。T字型になっており、先端に鋭く尖った金属がついています。この金属が上下に動き、建築物を壊すのです。建築現場で、ドドドと音をさせて使われている道具を見たことがないでしょうか?これがハンドブレーカーです。

昭和40年以降

ショベルカーの先端に大型ブレーカーのアタッチメントを取り付けて行う解体も始まります。昭和50年ごろから圧砕機や破砕機などの重機を使った解体が登場し、現在の解体方法の主流となっています。先端にはさみのような大型アタッチメントを取り付け、叩いて壊すのではなく、つかんで取り除いて家屋を解体します。ブレーカーよりも音が少なく騒音が少なくなるので、現在の解体ではこのような重機が使われます。最近ではワイヤーソーやウォータージェットを使った。新しい解体方法も登場しています。

仕事内容

解体工事を行う過程では、建物のなかにあった不用品や建物の周辺に放置されていたブロック塀、取り壊した建物の廃材など、さまざまな廃棄物が生じます。そうした産業廃棄物を、法律で定められたルールにしたがって適正に処分するのも解体業者の仕事です。解体工事と一言でいってもその難易度はケースバイケースで、簡単な工事はほぼありません。危険と隣り合わせの工事を、施主や近隣に迷惑をかけることなく安全に遂行するという解体業者の仕事は、非常に神経を使うものなのです。

解体業者がやってはいけない事

解体は、最近になり解体工事業という業種と指定されており、専門業者として認定されました。正式に建築業者として仲間入りしたことを意味し、法律を守り安全な解体や産業廃棄物を適切に処理することが求められます。しかし未だに古い体質の解体業者もおり、違法に解体をすることもあります。

ミンチ解体

ミンチ解体とは、家屋を重機で一気に破壊し、木やガラス、金属などを分けずに、そのまま廃棄処分する方法です。ミンチにして挽肉を作るように、家をミンチにして解体します。

平成14年には建築リサイクル法が施行されたことにより、解体で発生した廃棄物は、すべて分別して処分しなくてはならなくなりました。ミンチ解体をすると、木やガラスなどの建築材料はすべて細かく混ざってしまうので、分別することは難しくなります。結果として、そのまま分別されずに処分されてしまいます。分別しないと、解体での廃棄物は埋め立てするしかなく、環境に優しくありません。

不法投棄

解体で発生した廃棄物は、分別して産業廃棄物として専門業者に処理してもらいます。分別処理は費用がかかるので、廃棄物を不法投棄する解体業者もいます。当然産業廃棄物を適切に処理せず、どこかの空き地や山奥に捨てるので、環境に良くありません。

特にミンチ解体を行うような業者は、廃棄物を分別しないので、不法投棄へと繋がります。もちろん不法投棄が発覚した業者は、法律によって罰せられます。ちなみに、不法投棄があっても施主が罰せられることはありません。ただし、不法投棄する解体業者だと分かりながらも、解体依頼すると、何らかの形で罰せられる可能性があります。

解体屋(解体業者)の失敗しない選び方のポイント3つ

失敗しない解体業者の選び方には、3つのポイントがあります。

法的な対応をきちんととっていること

解体業者が解体工事や廃棄物の運搬・処理を請け負うには、「解体業」の免許を取得する必要があります。契約する前に、免許や登録番号を確認しておきましょう。加えて、過去に行政処分を受けていないかどうかも確認できるとベターです。

そのほかにも、解体業者は廃材などの産業廃棄物の処理時には「マニフェスト」という書類を発行してその写しを施主に提示したり、解体工事後には建物滅失登記の手続きを行うための「取毀し証明書」を発行する必要があります。こうした対応を渋る会社は法律を遵守していない可能性がありますので、契約する前に明確に確認をしておくと安心材料になるでしょう。

見積もりが安すぎないこと

解体工事には、人件費、重機の運搬費用、廃材などの処分費用などがかかり、それらは決して安いものではありません。企業努力や値引きで多少安くなるところは歓迎ですが、その範囲を超えて安く見積もるようなところは、不法な手段を用いていたり、あとで追加費用が加算される可能性があります。

少なくとも数社に現地調査・見積もりを依頼しましょう。ほかの会社と比較して飛び抜けて安い見積もりを出す会社は要注意です。見積もりの適正価格を判断するのは非常に難しいですが、見積書の書面を見ながら各項目にどのような内容が含まれているのかを確認することで、信頼できる会社を絞り込めます。

応対がていねいであること

解体を依頼する施主の多くは、解体工事に詳しくありません。解体工事を行うにあたってはいろいろ質問したいことが出てくるでしょう。そうした質問にていねいに答え、施主が理解できるように説明してくれる会社には信頼感がもてます。

他方、打ち合わせもそこそこで質問にも答えてもらえず、意思疎通ができないと感じるような会社は、こちらをだまそうとしているかもしれませんし、そうでなくても工事が終わるまでの間にさまざまなトラブルが起こってもおかしくありません。

悪徳業者に引っかからないように注意しよう

残念ながら、解体業者にも「悪徳業者」と呼ばれるような会社があります。法外に安い見積もりで施主を契約に引き込んで後に追加費用を請求する、本当は行わない工事をねつ造して費用を請求する、廃棄物を適正に処理せず不法投棄するといったような会社は、明らかに施主をだまそうとする意志があります。

こんな業者は要注意

見積もり時の現地調査がいい加減で、見積もりが適当、解体工事の知識や経験が不足しており必要な手順をふまない、本来は壊さなくてよかったものまで壊してしまう、近隣への説明・配慮が不足しクレームがくるといった会社は、意図的かどうかはともかく施主が非常な迷惑や被害にあうことに繋がりますので気をつけておきたいポイントです。

そうした業者に引っかからないよう、解体業者の選定は念には念を入れて行いたいもの。そのためには、解体を行いたい時期の3カ月から6カ月程度前に見積もりを依頼するようにして、業者の選定にもきちんと時間をかけられるようにしましょう。

クーリングオフ制度

商品を購入したら、クーリングオフできると聞いたことがあるかもしれません。そのために、クーリングオフは食べ物や衣類などの形のある商品購入時のみ適用可能だと考えていませんでしょうか?実は工事についてもクーリングオフができます。

解体工事でも、工事開始から8日以内であれば、クーリングオフを行い契約解除と返金を求められます。

手続き方法

クーリングオフする場合には、業者に書面で契約解除する旨を通知してください。確実に相手が書類を受け取ったとわかるために、内容証明で送るのがおすすめです。

書面には、タイトルを「クーリングオフ通知書」として、書類をもって契約を解除すること、さらに返金をしてもらうなら、自分の口座を記入し、書類到着後1週間以内に、口座に支払い済み代金を送金してくださいと記載します。

クーリングオフについて、どうすればいいかわからないときは、お住まいの地域の消費者センターで相談するのがおすすめです。

おわりに

ほとんどの方にとっては一生に一度あるかないかの解体工事では、海千山千の解体業者から「これが業界の常識だ」と言葉巧みにだまされてしまうことも十分あり得ます。しかし、解体の流れや解体業者の選び方を理解しておくことで、そうした業者に対しても先手を打つことができるのです。そして契約に際しては、自身と大切な建物を守るためにも必ず契約書を交わしましょう。

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