ガソリンスタンドは解体が難しい!?思わぬ落とし穴と知っておくべき手続きを解説

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車を運転していると、すでに閉店したと思しきガソリンスタンドがそのままさびれているのを目にすることがあります。

そうしたところを見かけて、「廃業してからだいぶ時間が経っているように見えるけれど、どうしてそのままにしておくのだろう」「更地にして駐車場か何かにしないのだろうか」などと考えたことはありませんか。

しかし、ガソリンスタンドの跡地がそのままになっているのには、実はある事情があったのです。ガソリンスタンドの開業を考えている方にとっても、そうした事情を理解しておくのは参考になるでしょう。

ガソリンスタンドの解体について

ガソリンスタンドは、立地条件次第では高い収益性を実現しやすく、更地の活用方法として選択肢に上がることも少なくありません。

一方で、近年は廃業を余儀なくされるガソリンスタンドも増えており、日本全国のガソリンスタンドの数はこの20年で半減に迫る勢いです。

ガソリンスタンドを開くような立地ですから、交通の便もよく、立地条件のいいところが多いもの。

となれば、廃業したガソリンスタンドは解体して更地にし、また新たな活用が可能になるのかと考えるところですが、廃業したガソリンスタンドが解体されずそのままになっていることも多いのです。

閉店したガソリンスタンドが放置されている理由

その理由は、ガソリンスタンドの設計上、解体がとても難しいからです。

火器や危険物を扱うガソリンスタンドは、消防法の厳しい規制を受けており、万一火災などが発生してしまっても炎上・爆発を起こすことのないよう、その設計には厳重な対応が求められています。

地下に埋設されているタンク、給油時にこぼれた油が河川などに流れ込むことのないよう雨水と油を分離させて処理する排水設備、耐震性にすぐれた強度の高い建物……。

そうした設備を解体するのはとても難しく、実際、ガソリンスタンドの解体工事で爆発事故も発生しています。

1991年に起こった事故では、ガソリンスタンドの地下タンクを掘り上げる作業の途中で、作業に用いたガス溶断器から可燃性蒸気を介して発火。

爆発して吹き飛んだタンクの鏡板が工事現場の囲いをなぎ倒し、近隣の住宅に損傷を与えてしまうという大事故に発展しました。

ガソリンスタンドの解体は、難易度に比例してその費用も莫大なものになりますが、ガソリンスタンドを廃業するようなケースでは多くの場合、高額の資金の捻出は困難です。

かといって、ガソリンスタンドの建物を別の用途に使うことも難しく、やむを得ず、閉店したそのままの姿になっている——。これが、ガソリンスタンドが解体されていないことが多い事情です。

ガソリンスタンドを解体する際のポイント

ガソリンスタンドの解体は、一歩誤ればガス爆発などの大きな事故を引き起こしてしまう、とても難しい作業です。

そのガソリンスタンドを安全に解体するためには、現状を十分に確認し、施工方法を入念に検討したうえで工事を行う必要があります。

たとえば、先にとりあげた爆発事故では、地下タンク内では可燃性蒸気と空気が混合し、爆発性の混合気という状態になっていました。そこに対してガス溶断器を用いて加熱溶断したことによって、発火・爆発に至ったのです。

この対策としては、タンクの解体に際しては乳化剤で洗浄後水を充満させるなどして、タンクの内部が可燃性混合気になっていないことを確認したりする必要がありました。

こうした容器から危険物を完全に除去するというのはなかなか困難であり、こうした事情を理解して作業に臨むことが求められるというわけです。

土壌汚染調査を実施するのも有効な選択肢です。

ガソリンスタンドとして使っていた土壌がベンゼンや鉛、油分、その他の有害物質などで汚染されていないかどうかを調べる土壌汚染調査は、義務ではないことが多く、自主的に行われることが大半です。

しかし、土壌汚染調査を行っておくことで土地の売買をスムーズに進めやすくなることから、土壌汚染調査を行うケースが増えています。

おわりに

このように、難易度も費用も高いガソリンスタンドの解体ですが、こうした撤去工事を行う際に石油業組合から補助金を受けることができる場合があります。

そうした制度がある場合でも、申請し許可がおりてからでないと解体工事を進めることができないケースが多いため、まず該当組合・協会に確認しておくと安心でしょう。

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