地震等の災害で家を解体することに……。そんなときに覚えておきたい公費解体の注意点解説
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阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震……こうした大きな地震は、残念ながらある日突然やってきます。さらに今後も南海トラフ巨大地震の発生する可能性が指摘されており、大地震という災害はどこに住んでいても決して他人事ではありません。
こうした大地震が起こってしまうと、大きい損傷を受けてしまう住宅も少なくなく、復興のために解体を余儀なくされることもあります。
地震の規模によってはそうした方が多いなかで、住宅の解体は、どのくらいで対応してもらうことができるのでしょうか。また、費用はいくらぐらいかかるのでしょうか。
大地震後に家を解体する際の公費解体について
過去に日本で起こった大きな地震では、非常に多数の住宅が半壊や全壊といった大規模な被害を受け、倒壊などによる二次災害や生活環境の悪化が懸念されました。そこで国が敷いた制度が「公費解体」です。
公費解体では、大規模地震などの災害で個人の住宅や会社の事業所などが大きな被害を受けた場合、自治体が解体の必要ありと判断した建物で、かつ災害廃棄物としての処理が適当であると認められるもののみ、国と自治体の補助を受けて解体することができます。
これまで日本で起こった大地震で公費解体が適用されたのは、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震の三つ。
流れとしては、所有者が自治体に申請して自治体が解体事業者に発注、国と自治体が費用を全額負担する場合と、所有者が解体業者に発注して解体を行い、事後に自治体に申請して一定額の補助を受ける場合があります。
家を解体する際にかかる費用と時間の目安
住宅の解体にかかる費用は、建物の規模や状態などによって異なるため一概にはいえませんが、100平米の建物を解体する場合の費用が概算で100万円から150万円程度といわれています。
加えて、解体工事に関連して、地質調査や登記手続き、お祓いなどが必要になる場合はそのための費用も発生します。
そうした費用を支払ったとしても、すぐに解体が完了するわけではありません。災害に伴う解体は非常に多くの件数が一度に集中することになるため、解体を終えるまでに何カ月も順番待ちが発生することもあるのです。
また、解体は危険度の高い建物から着手されますので、早く申し込んでもすぐに対応してもらえるとは限りません。
そして、さまざまな事情から、解体作業も家のものを確認しながら少しずつ進めることになるケースも多く、解体作業自体にも時間がかかる傾向があります。その両面の事情から、災害後の解体にはとても長い期間がかかってしまうのです。
2016年4月に発生した熊本地震では公費解体の対象と想定される建物がおよそ3万6000棟に上り、約2年が経過した2018年3月末段階でやっと99.9%の解体が完了したと報告されています。
公費解体の注意点
公費解体の補助を受けるには、災害で被害を受けた建物の所有者が自治体に申請します。
公費解体の対象となるには建物の被害が半壊以上であることが条件で、被害を受けたことやその規模を証明しなければなりません。そしてそこで必要になるのが「罹災証明書」。
「罹災証明書」は、災害による被害を証明する書類で、被害を受けた方の申請に応じて自治体が発行します。申請方法は自治体によって異なりますが、基本的には被害状況がわかるような写真を添えて必要書類を提出するというものです。
公費解体のみではなく、災害後のさまざまな支援を受ける際に必要になる書類ですので、被災後はなるべく早めに申請を行いましょう。
おわりに
大きな地震が起こっても住宅が被害を受けなければそれに越したことはありません。しかし、大きな被害を受けてしまった場合には、生活を再建するための第一歩として住宅の解体を余儀なくされることが少なくありません。
国と自治体の補助を受けられる公費解体は有用な制度ですが、その事情からどうしても時間がかかってしまうこともあり、そうするとなかなか生活再建を進められず、気持ちのうえでも前を向くのが難しいということも。
災害への備えは何もない普段にこそ行うべきものですが、こうした建物の解体についても念のため理解しておくことで備えやすくなります。