「空き家対策特別措置法」とは?生じてしまうデメリットとその回避策をご紹介

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総務省「平成25年(2013年)住宅・土地統計調査」によれば、日本全国にある空き家はおよそ820万戸に上るとか。

この20年間で空き家の総数は倍増しており、なかでも、長期にわたって居住者不在の住宅や、建て替えのために取り壊す予定になっている住宅などの「空き家」が増えています。

空き家を取り壊すにも解体費用がかかるなど、持ち主にとっても負担がありますが、かといってそのまま放置していては、防災面や景観面などの観点で周辺環境に大きく影響してしまいます。

その状況に危機感を募らせた政府が2015年に施行したのが、「空き家対策特別措置法」です。

固定資産税とは?

「空き家対策特別措置法」を説明する前に、土地にかかる固定資産税について理解しておきましょう。

土地や家屋などの不動産を所有している方には、「固定資産税」という税金が課されます。固定資産税は、市区町村が定める課税標準に基づいて計算されます。

この固定資産税は、建物が建っていない空き地(更地)にも課税されるのはもちろん、住宅が建っている場合も、そこに人が住んでいてもいなくても納税の義務が生じることになります。ただし、資産の状態によって税額は異なります。

固定資産税は、空き地(更地)の場合が最も高額で、「課税標準の1.4%」が課税されます。

ところが、「小規模住宅用地」と分類される200平米までの土地は、住宅が建っていると税額がその6分の1に減額されてしまうのです。土地が200平米超の場合は超えた部分のみ3分の1への減税となりますが、それでも空き地(更地)とは大きな違いです。

空き家対策特別措置法とは?

このように、人が住んでいない住宅でも建っていればそれだけで税額に大きな差が生じていたため、オーナーにとっては空き地(更地)にしてしまうより建物をそのままにしておくほうがメリットあり、でした。

そのため、空き地が一向に減らないという状態に陥ってしまっていたのです。

しかし、全国の空き家増加が深刻な社会問題と化したことを受け、政府は2015年、「空き家対策特別措置法」を本格施行するに至りました。

この法律では、すべての空き家のうち「特定空き家」に指定されると、前述のような優遇措置を受けることが出来なくなりました。

空き家のなかでも、そのまま放置すると倒壊などの危険や衛生上、景観上で有害となる懸念があると自治体が判断した空き家は、助言・指導を経て、「特定空き家」に指定されてしまうことになったのです。

税金を抑えるためのテクニック

そうならないようにするためには、空き家に対して税額を抑えられるような何らかの対策を施す必要があります。考えられる対策の一例としては、以下のようなものがあります。

空き家を賃貸物件として貸し出す

空き家がまだ住める状態であったり、リフォーム・リノベーションを行えば賃貸物件になったりするというような場合は、賃貸物件として貸し出すという選択肢があります。また、賃貸に出す目的で改修工事を行う場合は、費用の一部を国が補助する制度もあります。

空き家を解体し、更地にして活用する

自分が住む予定もなく賃貸経営も難しそうだという場合は、解体して更地にし、駐車場などにして活用するという方法もあります。自治体によっては、住宅を解体する場合に工事費用の一部が助成されるところもありますので、確認してみましょう。

空き家や更地にした土地を売却する

空き家が建っている状態で「中古戸建て」あるいは「古家付き土地」として売り出すか、解体して更地にしたうえで「土地」として売却するという選択肢です。数年前まで人が住んでいた空き家であれば、売却益の所得控除が受けられることもあります。

おわりに

従来は、空き家をそのままで所有していても、オーナーにはさしたるデメリットがないばかりか、「解体費用がかからない」「税金が優遇される」というメリットがあったわけです。

しかし、空き家対策特別措置法が施行された今、「特定空き家」に指定されてしまうと大きなデメリットが生じることになります。

まずは空き家の状態を確認して現状を把握するのが大切し、そのうえで必要な対応を早急に考えていきましょう。

検討に際しては、自治体の担当者や専門家に相談するのも有効です。さまざまな選択肢のなかから最もメリットの大きい選択肢を探していきましょうね。

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