プロに任せる? それともDIY? 壁を解体する際にかかる費用と解体していい壁とダメな壁について

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部屋数が多くて便利だと思っていた家も、長い年月を経て家族構成やライフスタイルが変化していけば、「部屋数より広い部屋が欲しい」と考えるようになるのも珍しいことではありません。そうした場合に、部屋と部屋を仕切っている壁を解体して部屋をつなげるという方法があります。

また近年は、中古の物件を購入して自分でリノベーションを行うケースも増えています。そうしたリノベーションでも、壁を解体することは多く発生します。壁の解体をプロに依頼するとしても自分でDIYするとしても、確認すべきなのが「この壁は解体して問題ないのか?」ということです。

解体していい壁とダメな壁~壁の構造について~

壁を解体して部屋を広くしたい、壁を一旦取り除いて自分好みにリノベーションしたい…。こうした場合に行うことになるのが、壁の解体です。しかし、壁を解体する前には、その建物の構造を理解しておく必要があります。

戸建て住宅の構造には「在来工法」「2×4工法」などさまざまなものがあり、このなかには住宅全体を「柱」ではなく「壁」で支える構造になっているものがあります。その場合は、特定の壁を壊してしまうと住宅が成り立たなくなるため、「解体してはいけない壁」が多数存在することになります。

そのほか、壁の中に「通し柱」「筋交い」といった構造材が通っている場合があります。これも、住宅を支えている構造材を壊すことができないため、壁の解体・撤去に制限が生じることになります。

マンション住宅の場合も、壁式構造のマンションでは壁の解体・撤去は難しいと考えるべきでしょう。それ以外のマンションでも、室内の専有部にある壁は解体できますが、左右の住宅と接している壁は当然解体することはできません。

壁解体にかかる費用とリフォーム費用について

壁の解体工事やリフォーム工事を行う場合の費用は、壁の面積、行う工事の内容、工事を行う住宅の周辺環境によって幅があります。

一般的な6畳間サイズの壁で解体工事のみを行う場合、壁以外の部分を守る養生作業を行ったうえで壁を解体、廃材を撤去します。この作業は1日程度で終わることが多く、費用としては平均して5万円から10万円ほどかかります。

ただし、解体する壁にコンセントやインターホンの配線が通っていた場合には電気工事が必要となり、別途費用が発生します。そのほか、壁を取り壊したあとの天井や床の補修、クロスの張り替えなどが必要になることも多く、それぞれ費用が加算されます。

また、壁を解体してリフォームする際の費用として一例を挙げると、洋室とリビングの間仕切り壁を撤去して引き戸にするリフォームでは約45万円、和室とリビングの間にあった壁を解体して部屋をつなげ、畳をフローリングに張り替えたリフォームでは30万円から50万円ほどといったものがあります。

壁解体をする前に考えておくべきこと

ここまで、壁の解体・リフォームについてみてきましたが、安全・安心に壁を解体するために、壁を取り壊してから「こんなはずではなかった」と後悔する前に、もう一度考えておきたいことがあります。重要なのは、お住まいの家にどのような問題意識をおもちであるか、壁を解体してどのような仕上がりにしたいか、そのイメージを明確にすることです。

「なんとなく、壁を撤去すれば広くなりそうだから」「部屋が広くなれば、なんとなく便利になりそうだから」といったように、イメージが漠然としていると、工事の仕上がりが理想と違うものになってしまうこともあります。まずは、実現したい目的や仕上がりのイメージをはっきりさせましょう。

そのうえで、その目的や仕上がりを実現するには「壁を解体する」という選択肢しかないのかどうか、複数の選択肢があるとしても最善のものであるかどうか、今一度考えてみましょう。住宅について勉強したり、専門家に相談したりすることによって、選択肢を増やせることもあります。

おわりに

壁の解体工事となれば大がかりなものになりますし、そのための費用も安いものではないでしょう。それでも、壁の撤去によってご自身やご家族が実現したい仕上がりを得られるのであれば、実行する価値は十分にあるといえます。

昨今のリノベーションでは、プロに依頼せずご自身でDIYするケースも増えていますが、壁の解体は住宅の安全性に大きく関わる要素でもあります。場合によっては解体工事やリフォームのプロの力を借りるなどして進めていきましょう。

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