空き家を解体工事する前に! 空き家を破格の値段で購入したい人はたくさんいます。

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空き家を解体工事する前に! 空き家を破格の値段で購入したい人はたくさんいます。

今の時代は、子供世代が実家を離れて別の地域で暮らすことが珍しくありません。そうした状況で親御さんが亡くなるなどした場合、実家を相続してもその家に住むのは難しいということもあるでしょう。

そうなったとき、「空き家としていつまでも放置しておくわけにはいかないが、古い家だし、田舎の家は売れないだろうから、解体するしかないか」と考えるかもしれません。

けれども実は、地方の空き家を求めている人というのは存在するものです。解体工事に着手する前に、空き家を売るという選択肢について一度考えてみませんか。

“田舎暮らし”を求めている人がたくさんいる!

都会から離れた地方で生活を送る「田舎暮らし」は、かつてはネガティブなイメージをもたれることが少なくありませんでした。ところが今では、自ら「田舎暮らし」を求めて地方で物件を探し、都市部から地方へ移住するケースが増えているのです。

いわゆる「田舎」と呼ばれるような地域は、交通機関や商業施設が少なく都市部のような利便性には欠けますが、反面、家の周りは静か、自然が豊かで空気もきれいであり、子育てにも適しているといったメリットがあります。

そのため、第二の人生を穏やかに過ごしたいと考える中高年の方から、都会の喧噪に流されることなく自分のペースで生きていきたいと考える若年層、田舎ならではの仕事に就いてスローライフを満喫したいと考える方まで、さまざまな層に「田舎暮らし」が注目されているのです。

空き家の価格が破格な理由とは?

そうはいっても地方の空き家の場合、どうしても安い価格の売却になる傾向があることは確かです。たとえば、非常に広い物件であっても、築年数がかなり経過している古い空き家であれば、価格を下げなければ買い手がつきにくくなります。

また、現在は都市部で働く人が多いなかで、都市部から離れた地域にある物件はどうしても買い手が少なくなります。さらに駅やバス停が遠い、電車やバスの本数が少ないといったように、交通の便が悪い物件であれば、値段はかなり下がってしまいます。

そのほか、税金を滞納して差し押さえになった物件や、事件・事故が起こって“事故物件”になってしまった家は、もともと低い相場のなかでもさらに破格の値段で取り引きされることも。

それでも、解体工事を行うには解体費用が発生しますが、家をそのままにした状態で売却できれば出費をおさえることができます。思い入れのある家を取り壊すことなく、必要とする誰かに譲ることができるのです。

全国にある空き家バンク

空き家バンクの仕組み

現在の日本では、地方の過疎化や空き家の増加が深刻な問題となっています。そこで各自治体は、「お試し暮らし」体験のような施策をはじめ、移住希望者に対して情報発信を行って自らの地域に移住者を呼び込み、定住促進や地方の活性化を促す取り組みを進めています。

その一つが「空き家バンク」。これは、自治体が管轄する都道府県や市区町村に存在する空き家を有効活用することを目的として、空き家の情報を物件希望者に対して広く周知するための仕組みです。

空き家を賃貸・売却したいと考えたオーナーが「空き家バンク」に登録するかたちで自治体に対して物件の情報を提供。各自治体はその情報を、物件を探している方に紹介するという流れです。

登録されている物件

「空き家バンク」に登録されている物件は、なかなか人が移住しないような過疎地にあるものや、築数十年が経過してリフォームしないと住めないようなものなどが多く、その分価格は安価になります。

しかし空き家を所有し、「安くてもいいので誰かに買ってほしい」「家を壊すのはしのびないので、誰か住んでくれたら」と考えるオーナーにとっては、有効なツールの一つといえるでしょう。

「空き家バンク」の物件は、各自治体が公開している「空き家バンク」物件情報を掲載したWebサイトで閲覧することができます。最近ではそのほかに、不動産ポータルサイトでも「空き家バンク」の物件を探せるようになってきました。

空き家バンクサイト

不動産ポータルサイト大手の「LIFULL HOME’S」

地方移住・田舎暮らし向けの物件情報を検索できる「LIFULL HOME’S 空き家バンク」があります。ここでは、日本各地の空き家バンクに登録された物件の空き家情報を紹介しています。

「店舗付きの空き家を探す」「農地付きの空き家を探す」といった検索テーマの設定があるのも便利で、売却物件だけでなく賃貸物件も掲載されているため、「まずは賃貸で移住を検討したい」と考える方にもおすすめです。

地方移住・田舎暮らし向けの物件情報【LIFULL HOME'S 空き家バンク】

一般社団法人移住・交流推進機構が運営しているWebサイト「JOIN ニッポン移住・交流ナビ」

日本全国の空き家バンクに登録された空き家情報を検索することができます。

このWebサイト「JOIN ニッポン移住・交流ナビ」は、いわば“移住ポータルサイト”。空き家情報だけでなく、日本の各自治体から寄せられたさまざまな最新情報や、地域の魅力、移住に関する支援制度なども紹介されています。

ホーム/ニッポン移住・交流ナビ JOIN

「空き家バンク」や空き家探しについてもていねいに解説されており、移住についてきちんと学びたいという方は、このWebサイトを活用することで移住の情報収集から物件探しまで行うことができるようになっています。

お試し住宅として空き家を募集

「田舎暮らし」を実践する方のなかには、地方の実家にUターンするというケースももちろんありますが、移住のしやすさや移住後のライフスタイルを考えて新たな土地を選んで移住するケースも少なくありません。

とはいえ、移住希望者にとって新たな土地での暮らしは、知らないことばかりで不安が多いものですよね。そこで、さまざまな自治体が移住支援対策として行っているのが「お試し暮らし」の提供です。

これは、その地域への移住を希望する方に空き家を貸して実際に住んでもらい、その土地での暮らしを一定期間体験してもらうというものです。

この「お試し暮らし」に使われるのは公営住宅の空き部屋などが多いですが、自治体が民間の空き家を借り上げて「お試し暮らし」のための家として活用するケースもあります。

たとえば、岡山県勝央町では「お試し住宅」に活用するための空き家を募集。実際に提供することになれば空き家を5年間貸すことができ、その間は空き家および敷地の固定資産税相当額を負担してもらえます。

こうした「お試し暮らし」用住宅の提供にはいろいろな条件がありますが、空き家がある地域がそうした住宅を募集しているならば、検討する価値はあるでしょう。

売らずに貸すことも考える

前述のような空き家の募集も含め、空き家の活用方法としては「売る」だけではなく「貸す」という選択肢もあります。「古い空き家だから借り手がつかないよ」と諦める前に、まずは貸すことのメリットとデメリットを理解しておきましょう。

賃貸で貸すメリット

賃貸物件として人に貸す最大のメリットは、家賃収入を得られるということです。人が借りて家賃を支払ってくれれば、維持管理費用をまかないながら、空き家という資産を手元に残すことができます。

人が住まない家は傷みが激しくなり寿命が縮むといわれますが、誰かに住んでもらえればその心配もなく、それだけ家の寿命を延ばすことができます。

賃貸で貸すデメリット

人に借りてもらえる物件にするためには、多かれ少なかれリフォームは不可欠です。そのためにはリフォーム費用がかかってしまいます。そうして費用をかけて家をきれいにしても、入居者が決まるとは限りません。

空室の状態が続けば出費ばかりが増えますし、入居者が決まったとしても家賃の滞納や騒音トラブルなどのリスクもあります。安定した賃貸経営は簡単なことではなく、苦労も多いのが実状なのです。

空き家で収益化も可能?

全国的に空き家が増加する日本では、「売る」「貸す」以外の方法で、空き家で収益を生む事例が増えつつあります。

たとえば、築100年近いけれど好立地の木造住宅は、シェアオフィスにして時間貸しすることで多くのビジネスパーソンが使ってくれるようになりました。

観光客が多く集まる商店街の空き家は、宿泊施設やおしゃれなカフェに生まれ変わることで、日本に観光にきた外国人などに活用してもらうことができます。

空き家で収益を生むためには、何らかのリフォーム・リノベーションが必要なのは賃貸と同じで、最初は投資が必要です。

それでも、そういった選択肢があるというのを知ることで、これまで悩んでいた空き家の活用に新たな選択肢を見つけられるかもしれませんね。

おわりに

日本全国で空き家の増加は深刻な社会問題とされています。都市部の空き家であれば買い手もつきやすいですが、地方の空き家ではなかなかそうもいかず、頭を痛めておられるオーナーの方もいるでしょう。

しかし、「田舎の古い家は解体工事するしかない」とすぐに決めつける必要はありません。田舎暮らしを求める方も増えているなかで、移住を希望する方にとっては地方の古民家が“探していた夢の物件”になるかもしれないのです。

まずは状況を整理し、必要に応じて解体工事の費用を見積もったうえで、「安くても買い手を見つけて売却する」という選択肢を検討してみることで、これからの空き家の対応に視界が開けるかもしれません。

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