購入を決めた土地に古家が…安心してください! 解体工事でもローンを組む方法を教えます。

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「実家を相続したが住む予定がない。空き家を放置しておくわけにもいかないので解体したいが、費用が捻出できず困っている」

「マイホームを建てるのに好立地の土地を見つけたが、古家付きの土地だった。マイホームを建てるためには古家を解体しなければならないが、費用を用意するのが大変」

そのような事情から、住宅の解体を希望するものの費用の工面で苦心しているというケースは少なくありません。しかし、住宅を買うときに住宅ローンを組むように、解体工事を行うときにもローンを組めることがあるのです。

解体工事ローンの特徴について

住宅の解体工事を行うには数十万円単位の料金がかかります。この費用は、工事完了時に一括で支払うか、工事着手時・完了時に半分ずつ支払うのが一般的で、いずれにしても現金での支払いとなり、分割払いはできないことがほとんどです。

したがって、解体工事を依頼するにはまとまった現金を用意する必要に迫られます。解体工事を行うまでに猶予があれば少しずつ貯めていくこともできますが、そこまで待てない場合は費用の捻出に困ることになります。そこで検討したいのが、ローンの利用です。

空き家を解体したいと考える方には、「空き家解体ローン」というローン商品があります。これは、日本全国で社会問題化している空き家の増加を解決すべく生まれたローン商品で、無担保で低金利、保証人がいなくても借りられるといったように、支払うハードルが低く設定されています。

使用可能なローンとは?

使用可能なローンには、大きく「住宅ローン」と「プロパーローン」の2種類があります。それぞれ確認しておきましょう。

通常の住宅ローンを利用する

今建っている建物を解体して新たに家を建てるという建て替えの場合には、住宅ローンを利用することが可能になります。この場合は、家の建築費用のなかに「既存の建物の解体費用」をあらかじめ組み込み、住宅ローンの借り入れ額を決めるという流れになります。

そのため、住宅ローンの借り入れ希望者は金融機関に対して「解体工事の費用がこれだけかかる」という金額を提示しなければなりません。家の新築費用と合わせて、解体工事の費用がわかる見積もり書類を用意し、金融機関に提示します。

プロパーローン(無担保ローン)を利用する

条件が該当せずこうしたローンが利用できない場合は、さまざまな目的に利用できる「プロパーローン(無担保ローン)」を借り入れることで解体工事に適用できる場合があります。

プロパーローンは担保・保証人(保証会社)をつけることなく借りることができますが、その分金融機関による審査が非常に厳しいです。融資がおりるとしても時間がかかる点にも注意が必要です。

プロパーローン(無担保ローン)とは?

プロパーローンは無担保ローンとも呼ばれており、その名の通り、お金を借りるときに担保を必要としません。ローンを組むときには、土地などの担保は必要とせず、登記簿謄本にも抵当権設定の履歴は残らないです。住宅ローンなどとは違い、担保を用意しなくてもいいので、手軽にお金を借りられる方法と言えます。

担保無しでお金を借りられるローンですが、融資額は1,000万円~1,500万円ほどと、通常の住宅ローンよりも低いです。解体工事を行う費用として十分にまかなえるので、担保は用意できないけど、お金を借りたいような人に適したローンです。

メリットについて

プロパーローンの利用には、どのようなメリットがあるのでしょうか。

融資までのスピード

プロパーローンのメリットと言うと、担保が必要なく、融資までの時間が早いことでしょう。一般的な住宅ローンの審査は数週間時間を要しますが、プロパーローンは素早い審査で融資までの時間が早くなります。。審査は、年収や勤続年数、職歴などを見て融資可能かどうか判断されます。審査は銀行のみが行い1回で済みます。

担保評価が低くても融資可能

自宅の担保評価が低く、有担保のローンでは希望額が借りられないような人も、プロパーローンならば、収入や勤続年数などによっては借りることができるかもしれません。。セカンドハウスのために住宅ローンは使えませんが、プロパーローンならば使用可能です。

他には銀行によりますが、解体工事のための融資も可能です。また保証会社を使わないローンとなっているので、ローン契約時には保証料を支払う必要がありません。保証料がなくなることで、借入額の2%程度の出費を抑えられることも魅力です。

デメリットについて

プロパーローンの利用にはデメリットもあります。しっかり理解しましょう。

金利が高い

プロパーローンは、無担保でお金を貸すので、銀行の融資判断は慎重になります。債務者の返済が滞ったときは、そのリスクを銀行がすべて請け負います。リスクを減らすために、プロパーローンの金利は高いです。通常の住宅ローンよりも高いのは間違いないでしょう。

取り扱い銀行が少ない

銀行のリスクが高いので、積極的に商品を提供しようとはせず、扱っている銀行が少ないです。大手銀行で扱っていても、支店では扱っていないケースもあります。担保は必要ないですが、連帯保証人は立てないとなりません。

空き家・古家解体の補助金

国が行っている補助金制度はないですが、自治体で行っている制度はあります。全国すべての自治体で補助金制度があるとは限らないので、利用したいならお住まいの自治体で制度を設けているか調べてください。自治体の補助金制度をいくつかご紹介します。

岡崎市 : 危険空き家除却事業補助金

概ね1年以上居住その他の使用がなされていないもの、または火災により著しく損壊し、り災証明の発行を受けたもの(り災住宅)のどちらかの住宅を危険空き家として、解体での補助金が支給されます。

  1. ア、イのいずれかを満たすもの。
     ア 市街化区域内の敷地に現に存すること。
     イ 落下もしくは倒壊により歩行者等に危害を加える恐れのあること。
  2. 延べ面積の2分の1以上が居住の用に供されていたものであること。
  3. 木造であること。
  4. 所有権以外の権利が設定されていないこと。
     ただし、所有権以外の権利が設定されている場合であってもその権利者の同意があれば可能です。
  5. 所有者が複数存在する場合は全員の同意があること。
  6. 建物の除却について、ほかの補助金等の交付を受けていないこと。

これら1~6まですべてに該当すれば、補助金を受け取れます。補助金の額は、り災住宅は上限20万円、それ以外の場合は上限10万円までです。

危険家屋を解体するときに受けられる補助金

岡崎市の補助金制度は、危険家屋解体のための助成金です。

1年以上使用していない空き家、またはり災した空き家であり、なおかつ対象条件になれば補助金を受けられます。補助金を受けるには、所有者の同意を得なければならず、所有者が複数いるときは、それぞれの同意を得るので、少し手間がかかるでしょう。

特に火災があった家屋は、そのままだと臭いもあり、崩壊の危険もあるので、すぐ解体しなくてはなりません。最大でも20万円までの補助金なので、解体費用はそれ以上お金がかかることが多く、費用の一部をまかなう金額になります。

荒川区 : 危険老朽建築物の除却費助成

国や自治体の補助金を受けていない、昭和56年5月31日以前の建物を危険老朽建築物として、解体での補助金が支給されます。

  1. アまたはイどちらかに該当するもの
    ア 危険老朽建築物の所有者(共有の場合にあっては、全ての共有者の代表者)であること。
    イ 危険老朽建築物の存する土地の所有者(危険老朽建築物の所有者の承諾があること)であること。
  2. 中小企業基本法第2条第1項各号に規定する中小企業者以外の企業者でないこと。
  3. 住民税、国民健康保険料等を滞納していないこと。
  4. 不動産販売、不動産貸付等を業とする者ではないこと。

これら1~4まですべてに該当すれば、補助金を受け取れます。補助金の額は1平方メートルあたり26,000円までです。

築38年以上の家屋の解体に助成金が出る

荒川区の助成金制度は、昭和56年以前の建物が対象であり、築38年以上の建物の解体で助成金を受けられます。

木造住宅の建材の寿命は約30年であり、これが家で快適に生活ができなくなる一般的な目安です。築30年を超えれば、基礎がぼろぼろになる、雨漏りしやすくなる、水回りでの不具合が起きるなど、住宅として危険が増します。

このために、荒川区では昭和56年以前に建てられた建物を危険老朽建築物として、解体費用の助成をしています。助成金は1平方メートルあたり最大で26,000円なので、ほぼ解体費用全般をまかなえるでしょう。

困ったときには金融機関へ

空き家解体ローン、住宅ローン、プロパーローンのいずれも、日本全国の金融機関で取り扱いがあり、さまざまなローン商品が用意されています。

特に空き家解体ローンについては、空き家の増加という社会問題を背景に、各自治体の要請や地方創生の取り組みなどの後押しを受けて生まれたローン商品であることもあり、地方銀行での取り扱いも続々と増えています。

審査のハードルは低くありませんが、審査を通過すれば支払いのハードルは低いですし、審査を通過できなくても自治体の補助金制度などを紹介してもらえることも。

無担保ローンであれば、「プロパーローン」「フリーローン」といった名称で、大手銀行をはじめとする数多くの金融機関でローン商品を提供しています。

家の解体に関して費用面で困ることがあったら、問題を放置するのではなく、金融機関を訪れて相談してみましょう。金融機関やローン商品によって審査のハードルも異なりますし、借り入れが叶わなくても新たな選択肢が開けるかもしれません。

おわりに

家の解体には多額の費用がかかるものですし、長年住み慣れた家の解体ともなれば費用面だけでなく感情面も絡んできます。居住地域から離れた実家や古家の解体はなかなかじっくり取り組む時間がなく、問題を放置してしまいがちです。

しかし、そうしている間に家の老朽化は進みますし、せっかく手に入れた土地に古家が建ったままではマイホームの建て替えもままなりません。解体工事の費用面で困ったら金融機関の助力を得るなどして、解体を一歩一歩進めていきましょう。

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