裏の土蔵が老朽化…土蔵解体工事の気になる費用と業者選びのポイント

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さまざまなものを保管するなどの目的で建てられた土蔵は、いまや都市部ではめったに見かけることがなくなりましたが、地元に帰省した際や地方に旅行したときなどにふと目にすることもあるのではないでしょうか。

しっかりした造りの土蔵は倉庫としては頼りになる存在ですが、それでもいつかは老朽化による劣化がやってきます。そうなれば解体工事の必要に迫られることになりますが、特殊な構造の土蔵は解体するにも一苦労です。

土蔵の解体工事をする場合、費用はいくらぐらいかかるのでしょうか。そして、解体工事を依頼する際には、どのような施工会社を選べばいいのでしょうか。

土蔵ってどんな建物のこと?

「土蔵(どぞう)」とは、日本に古くから伝わる伝統的な建築様式によって作られた蔵で、住居や店舗の物を保管する倉庫として活用されてきたほか、住居を兼ねた保管庫として建てられてきました。

土蔵の特徴

土蔵の外壁は、土や漆喰といった素材で厚く塗り固められているのが一般的で、防火構造建築物の代表ともいわれるほど丈夫なもの。その構造は「土蔵造り」「蔵造り」と呼ばれています。

そのように、一般的な住宅とは異なる特殊な様式で建てられた土蔵は、解体工事を行うにあたっても一般家屋のようには進められないところが多々あるのです。

土蔵解体の手順について

土蔵の解体工事の手順は、解体する土蔵の立地や状態によっても異なりますが、まずは解体業者に工事の見積もりを出してもらい、工事を依頼する解体業者を選ぶところから始まります。

実際の解体工事を行う前には、解体工事のための足場の設置、工事で生じる騒音や粉じんを最小限に抑えるための養生、近隣の住民の方々へのご挨拶など、いろいろな準備を行います。

また、土蔵のなかに荷物や古物が残っている場合は、それらの残留物を撤去しなければなりません。依頼主自身で処分すれば費用を安く抑えることができますが、不用品として解体業者に処分を依頼することも可能です。

建物の解体は重機を使うことが多いですが、状況によっては手作業で解体することも。土蔵の解体工事ならではの作業として、屋根瓦の撤去や、土壁の土を落として藁と土を分けるといったものがあります。これは分別処分のためで、手作業で行う必要があります。

解体が完了したら、廃棄物を分別して処分し、清掃して土や埃をきれいにします。最後に、土の表面を平らにして固めて整地します。一般的な解体工事は、このような流れで進んでいきます。

解体費用と業者選びのポイント

前述のように、「土蔵の解体工事ならでは」の作業が発生する土蔵の解体工事は、その費用も一般的な家屋の解体工事に比べて高額になることがほとんどです。

土蔵の土壁は、下地の両面に塗り込まれている土と藁を壁から落とし、それを手作業で土と藁に分別しなければなりません。その作業にかかるコストと、分別した土・藁の処分費用が高くつくため、どうしてもそのようになってしまうのです。

この事情を逆手にとって法外に高額な費用を請求したり、費用を安く見積もる代わりに廃棄物を不法投棄したりするような悪質な業者も存在します。そうした業者に依頼すれば、思わぬトラブルに発展してしまいかねません。

解体工事のトラブルを防ぐためには、解体業者に現地調査をしてもらったうえで、見積もりを書面でもらうようにしましょう。解体業者数社に見積もりを依頼して金額や各社の対応を比べることで、信頼できる業者を探しやすくなります。

おわりに

今の時代、土蔵は希少性の高い建物ではありますが、老朽化や土地の売却といった事情から解体せざるを得ないということもあるでしょう。その際には、土蔵の解体手順を一通り理解しておき、費用が高額になる理由を理解しておくことで、解体業者と話を進めやすくなります。

費用がかさみがちな土蔵の解体工事ですが、収納していた不用品を自分で処分すれば処分費用を抑えることができますし、価値の高い骨董品が見つかれば買い取ってもらうこともできるかもしれません。そうしたことも知っておくと、いざ解体工事が必要になっても困らずに住むでしょう。

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