狭い場所でのビル解体の救世主!「スパイダーロボ」とはいったい?

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狭い日本の、特に都市部では、建物の解体をするにも一苦労というケースが少なくありません。密集地の一角に建てられたビル、電線が邪魔で解体工事が困難なマンション、周辺を細い道路に囲まれたクレーンが入れない住宅……。

そうした場所では解体工事が長期化したり、あるいは解体に多額の費用がかかったりしてしまったりします。

そんな状況を打破すべく、解体工事の手法や機械もさまざまなものが開発されてきているのをご存知でしょうか。中でも近年話題を集めているのが、解体を専門としている企業「フクブル」が開発した「スパイダーロボ」です。

いったい、そのスパイダーロボとはどのようなものなのでしょうか。以下、詳しく見ていこうと思います。

スパイダーロボとは?

株式会社フクブルは、「家こわしのプロ」というスローガンのもとに解体事業を請け負っている企業で、設立およそ50年を迎える徳島県の地元密着型企業です。

そんな解体工事の技術力世界一を目指しているフクブルが、重機メーカー大手のキャタピラージャパンの協力を得て開発したロボットこそ、ビル解体のための重機「スパイダーロボ」。

スパイダーロボはおよそ3トンの重量を持つ重機で、作業員は乗車せずに離れた場所からリモコンで遠隔操作されることで動作します。車体には、6トンの重量に耐えられるグラスファイバー製の軽量ワイヤーと巻き取り機を搭載しています。

最大の特徴は、そのワイヤーを使うことで、クレーンなどを使わずに自機のみでビルの頂上まで移動できる点。まるでクモが糸をたぐって上へあがっていくように、するすると垂直移動できるのです。

ビル最上階の天井にワイヤーを固定して巻き上げると重機が上昇するという仕組みで、最高50メートル(12階分)の高さまで引き上げることができます。

スパイダーロボが活躍するケース

このスパイダーロボがその威力を最大に発揮するのは、狭い土地に建っているビルを解体するケースでしょう。通常の解体では、クレーンを使って解体重機を屋上へつりあげ、上の階から下の階へ降りながら取り壊すというような流れで解体作業を行っています。

ところが、狭隘地に建設されているビルは周辺の道路が広くなかったり電線が交錯していたりするためにクレーン車を進入させることができず、そうした対応が難しいことが多くあります。

そうなると、作業担当者が手持ちの粉砕機を使って解体するといった選択肢を検討することになりますが、人手による解体は非常に重労働で、解体期間の長期化・費用の多額化を招いてしまうなど、解体作業が非常に困難となってしまうとされています。

しかし、このスパイダーロボを利用することで、クレーンを使わずに解体重機をビルの屋上まで移動させることができます。そのため、これまで諦めていたような密集地や狭隘地などでも解体が可能になるというわけです。

スパイダーロボを利用することで、粉砕機を用いた手作業での解体に比べて解体費用を約40%削減、工期を約1ヶ月短縮できるほか、騒音や振動なども抑えることができるとされています。

ビルを解体したいと思ったらまずはご相談を

商店街の合間に建っているビルや都市部の密集地にあるビジネスホテル、隣家との間隔が狭い家屋などを解体したいと考える場合、スパイダーロボを使った解体のニーズはさまざまなところにあると考えられ、依頼したいと考える方も少なくないでしょう。

フクブルは徳島の企業ですので、近隣地域の方であればフクブルに問い合わせるといいでしょう。フクブルは、徳島県内だけでなく全国展開していきたいとしており、それ以外の地域の場合でも一度相談してみてはいかがでしょうか。

おわりに

高度経済成長期には建設ラッシュで数多くのビルが建設されました。そうしたビルが今度は取り壊し時期のラッシュを迎えているわけですが、狭い土地や密集地では思うように解体が進まないという事情が出てきています。

人の手作業による解体はとても大変な作業であり、ときには土地の売却費用より多額の解体費用がかかるといったケースも。そんな状況でこうした機械が開発されることで、さまざまな場所で解体を進めやすくなるでしょう。

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