解体前にちょっと待った! 自然災害に遭ったときのために知っておきたい罹災証明書と被災証明書について
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相次ぐ大地震に夏場のゲリラ豪雨、強い勢力を保ったまま直撃することも多くなった台風など、日本各地で自然災害が相次いでいます。日本のどこにいてもそうした災害による被害は他人事ではなく、ふだんの生活を続けられなくなる可能性もすぐそこに潜んでいます。
自分の住む家がそうした自然災害で大きな被害を受けてしまった場合、残念ながら、最終的に解体せざるを得ないケースもあります。しかしながらその前に、自治体から支援を受けられる場合があること、そのためには証明書の発行を受ける必要があることを、まずは知っておきましょう。
罹災証明書と被災証明書とは?
地震、台風、津波といった自然災害、または火事などの災害で、お住まいの家や財産が被害を受けた場合、その被害を証明する書類を発行してもらうことができます。それが「罹災(りさい)証明書」と「被災証明書」です。
「罹災証明書」は、そうした災害によってお住まいの家が損害を受けた場合に、その被害を証明するものです。その認定・証明は自治体(火災被害の場合は消防署)が行い、持ち家だけでなく賃貸住宅に住んでいる場合も証明を受けることができます。
「被災証明書」は、家屋や土地といった不動産ではなく、人の家財道具や自動車などの動産に対する被害を証明するものです。罹災証明書はその被害の度合いを4段階で認定・証明しますが、被災証明書は被害を受けたことを証明するもので、被害の程度は認定されません。
証明書発行の手順について
罹災証明書・被災証明書の制度は自治体ごとに定められており、証明書の発行を受けるための手順も自治体によります。詳しくは、各自治体に問い合わせるかWebサイトなどで確認しておきましょう。
罹災証明書を自治体に申請すると、各自治体に認定された建築士が調査員として被害現地に派遣され、その被害の状態を調査します。そこで「被害を受けた」と認定されれば、その被害の度合いに応じて4段階に分けられ、その内容を証明する書類が発行されます。
罹災証明書の発行は調査・認定までに時間がかかるため、申請してもすぐに証明書の発行を受けることができません。また、調査結果が不服である場合には再調査を申請することが可能ですが、そうなるとさらに時間がかかります。
被災証明書は、基本的には即日発行を受けられることが多いですが、「被害を受けた」と判断される基準は自治体ごとにさまざまで、なかには被災証明書の発行がない自治体もあります。その場合は罹災証明書が被災証明書の役割を兼ねることが大半です。
証明書発行によって受けられる支援について
自然災害などで被害を受けた場合、自治体の公的支援や民間の支援など、さまざまな支援を受けることができる場合があります。罹災証明書や被災証明書で被害の有無やその度合いを証明する必要があるのは、そうした支援を受けるためです。
自治体による支援の一例を挙げると、生活再建のための支援金を受け取ることができる、仮設住宅や公営住宅に優先的に入居できる、住宅の解体工事が必要になった場合に公費解体の補助を受けられる、といったものがあります。
民間の支援としては、災害保険の保険金を受け取ることができる、私立の学校の授業料について減免措置を受けることができるといったものも。無利息または低金利で融資を受けられるといった支援は、自治体でも民間でもあります。
おわりに
こうした支援は自動的に与えられるものではなく、多くは自ら申請することが必要になります。その際に必要になることが多いのが、罹災証明書や被災証明書です。ところが、被害を受けてしまったあとすぐに片付けたり解体したりしてしまうと、そうした証明を受けられなくなってしまうことも。
そのようなことにならないよう、まずは被害の状態の証明を受けることが肝心です。罹災証明書は特に発行までに時間がかかることが多いので、早めに動いておくことも重要です。被害を受けてしまった方や、あらかじめ確認して備えておきたいという方は、証明書の発行や受けられる支援についてお住まいの自治体で聞いておくといいでしょう。