解体工事での安全対策は万全? 自然災害もありうる! 解体業者が安全対策のためにやっていること

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大きな重機から電動工具まで、さまざまな機材を使って家屋やビルといった建物を取り壊していく解体工事は、簡単な作業のように思われるかもしれませんが、実はとても繊細で難しいもの。周囲を建物に囲まれた家屋や高いビルを、近隣に影響を及ぼさずに手際よく取り壊していくのは簡単なことではありません。

そして、解体工事は、常に危険と隣り合わせの作業でもあります。工事中の事故を未然に防ぎ、自然災害などによる被害を最小限に食い止めるなどして、工事を安全に終えるためには、実に多くの配慮が必要となるのです。

解体工事中に起こる事故とは?

家屋やビルといったさまざまな建物を取り壊して更地にする解体工事は、解体に使うための電動工具や重機、高層部で作業するための足場など、数多くの機材に囲まれて作業をすることになります。解体する建物自体、老朽化が激しいなどの事情で脆くなっていることも少なくありません。

そうした解体工事の現場では、どうしても事故が起こりやすくなりがちです。解体する建物や外壁などが崩れる、操作ミスや作業スペースの不足から重機が転倒する、建物や足場から工事作業員が落下するなど、その事故事例は枚挙にいとまがありません。

解体工事でそうした事故が起こったときに、まず被害を受ける可能性が高いのが解体工事を請け負う作業員の方々です。しかし、建物の崩落によって、解体工事の現場の近隣に建材が飛び散ってしまうと、被害は近隣に及んでしまいます。重機の転倒は、周囲を通行する自動車や人にも被害を与えかねません。

台風による事故もある

雨風にさらされる建物を解体する解体工事は、天候と無関係ではいられません。解体工事の作業には屋外で行われるものも多く、養生シートや足場など建物の周囲に施す準備についても悪天候の影響を大きく受けることになります。

その悪天候の最たるものの一つが台風です。台風で風が強くなれば、その強風で解体する建物の周囲の養生シートがはがれてしまったり、建物の周囲に組んだ足場が崩れてしまったりする危険性が非常に高くなります。

なかには、短期間での工事を強いられ、台風のなかでも解体作業の継続を余儀なくされるケースも。そこでは、強風のなかで作業していた作業担当者が建物や足場で足を滑らせて転落してしまう事故、豪雨で川が氾濫してその増水で被害を受けてしまう事故などが、実際に起こっています。

こうした事故も、被害が及ぶのは解体業者や作業担当者ばかりではありません。近隣に住む方々や周囲を通る自動車・通行人を巻き込み、最悪の場合は死亡事故につながってしまうことも決してゼロではないのです。

現場での安全管理について

このように危険の多い解体工事の現場で安全を守るため、国や自治体では、解体工事を行う際の安全管理に関するルールを定めています。そして解体業者は、「労働安全衛生法」「労働安全衛生規則」「国土交通省のガイドライン」などの定めに基づき、数多くの安全対策を講じています。

例えば、労働基準監督署に工事の届け出を行うといった対応もその一環です。そのほか、作業担当者や家族を守るための労災保険への加入、万一の事態に備えるための賠償保険への加入といった対応もあります。

解体工事の現場では、作業主任者や主任技術者といった管理者による監督のもと、ヘルメットなどの保護具を着用し、工事の手順を守って適切に作業を進めるといった対応がとられています。近隣への安全対策としては、ブルーシートによる飛散防止や看板・ガードマンの設置といった対策もとられています。

おわりに

解体工事における安全管理は、一見すると解体業者やそこで働く作業担当者に関係することのように思われるかもしれません。しかし、解体工事を依頼する建物の持ち主、工事現場の近隣に住む方々、工事現場の近くを通る方々などにとっても無関係ではありません。

特に、解体工事を依頼する立場になる方は、自分自身が依頼する工事の安全性に大きく関わることになります。解体業者の担当者とともに、事故を起こさないための主体者としての意識をもって、工事を進めようとすることが大切です。

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