近隣トラブル8割解消!? 解体工事で忘れてはならない近隣挨拶について

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相続したもののもう誰も住まなくなった空き家を解体して更地にする、家の建て替えのためにこれまで住んでいた家を一旦解体する…解体工事を行う事情はさまざまですが、どの場合も事故やトラブルなどを起こさず無事に済ませたいと思うものでしょう。

そのためには、解体工事を依頼する施工会社の選び方やその後の進め方について注意すべき点が数多くあります。そのなかでも忘れずにおさえておきたいのが、近隣に住む方々への挨拶です。近隣への挨拶の有無やその仕方によって、その後のトラブルの発生度合いが大きく変わってくるのです。

解体工事の近隣トラブルは時代とともに変化している?

建物を取り壊す解体工事の現場では、騒音や振動、粉塵の飛散といったものの発生は避けられません。工事技術や使用機材の進歩も相まって被害を最小限におさえる対策はとられているものの、ゼロにすることが難しいというのは今も昔も変わらないというのが実状です。

したがって、解体工事を行うとなれば近隣の住宅への被害が多少なりとも生じてしまうため、そこから近隣の住民の方々とのトラブルに発展してしまうこともあります。しかし、そうした近隣トラブルのあり方は、時代の変遷とともに変化しているともいわれています。

昔は日本各地でご近所づきあいが活発で、日常の挨拶からご飯のお裾分け、何かあったときの留守番といったことまで交流がありました。そのように顔を見知って近しく接している間柄では、工事の被害を多少受けることがあってもそのままおさめるという部分もあったのでしょう。

ところが、近年の日本においては、特に都市部を中心にご近所づきあいが減少し、隣の家に誰が住んでいるか知らないということも珍しくありません。顔も知らないような“赤の他人”が行う工事で何らかの被害を受ければ、「許せない」という気持ちになりやすいのも想像できます。

近隣トラブルTOP3はこれ!

こうした時代背景の変化や権利意識の高まりから、解体工事に伴う近隣トラブルは増えており、数多くの事例があります。とりわけ多いのが「粉塵が飛散して汚れた」「騒音・振動でストレスを感じた」「工事作業員の出入りやマナーに問題があった」といったケースです。

解体工事の現場では、取り壊しや廃棄物の搬出などの作業によって多くの埃や粉状の物質が空気中に舞い散ります。それが近隣の住宅や周辺の道路に及んでしまうと、空気や住宅、自動車などの汚染につながってしまうのです。

また、解体工事では、頑丈に作られた建材を使った建物を壊す際に大きな音が出ますし、その作業で振動が発生することもよくあります。周囲に住む方が日中不在であればいいですが、ほとんどの時間を家で過ごすような方であればストレスになってしまうでしょう。

解体工事を行うにあたっては、多くの自動車や重機、作業担当者が現場付近を出入りすることになります。きちんとした解体業者であれば周囲に迷惑を与えないような行動を徹底しますが、なかにはごみをその辺に捨ててしまうような問題行動が起こってしまうケースも。

挨拶は施主も業者もが鉄則

大規模な工事が何日も続く解体工事は、その存在自体が近隣住民の方々に不安を与えてしまいがちで、ちょっとした被害がストレスを生み、トラブルに発展する種になってしまいます。そうならないよう、工事の前には必ず近隣の方々に挨拶を済ませておきましょう。

その挨拶は誰がするべきなのかと迷うことも多いですが、工事を依頼する施主だけで行くのではなく、かといって、解体工事を担当する施工業者の担当者だけで行くのでもなく、施主と業者が同行して挨拶にうかがうのがベストな選択です。

工事の専門的な説明については、工事を請け負う業者の方から説明してもらうのが最も正確です。しかし、工事を行う主体はご施主自身であり、近隣の方々と関係があるのも施主ご自身です。近隣の方々にとっては、施主自らがきちんと挨拶に出向くことで、安心と誠意を感じてもらうことができるでしょう。

近隣挨拶へのタイミング

近隣にお住まいの方々へご挨拶にうかがうタイミングとして、一般的に良しとされているのは、解体工事を開始する10日前から1週間前です。

あまりに直前のご挨拶になってしまうと、ご近所さんとしては「そんな急に言われても…」と思ってしまうかもしれません。迷ったときは、一緒に挨拶するための日程調整もかねて、解体業者の担当者に相談してみるといいですね。

そして、ご挨拶にうかがう時間帯にも配慮が必要です。朝早い時間帯や夜遅い時間帯、ご飯時などはご迷惑になりますので避けましょう。

挨拶すべき「ご近所さん」はどこまでを指す?

多くの方が迷うポイントに、「挨拶はどのくらいの範囲を回るべき?」というものがあります。これは「どこまで何軒挨拶にうかがうべき」という明確な決まりはなく、ケースバイケースで判断することになります。

一戸建てか集合住宅かによっても異なりますが、「解体する建物と接している家(お向かい、お隣、裏のお宅など)」「解体工事の騒音や振動が伝わりやすい家(上下階のお宅など)」を目安に考えるのをおすすめします。

何より、挨拶しないよりは挨拶したほうが安心です。うかがうかどうか迷ったらご挨拶しておいたほうが、お互いに気持ちよく過ごせますよね。

解体工事には挨拶状が鉄則!

ご挨拶にうかがった先ではご近所の方々に対して、解体業者の担当者と施主の方から工事の内容についてていねいに説明します。そして、工事車両の出入りや騒音・振動などでご迷惑をおかけすることのお詫びをお伝えしましょう。

そのときに必ず持参してお渡しすべきなのが「挨拶状」です。口頭での説明だけでは忘れてしまうこともありますし、「言った」「言わない」とトラブルになってしまう可能性もありますよね。

そこで、ご近所の方が必要なときに内容を見返せるよう、ご挨拶と工事の概要を記した書面をあわせてお渡ししておくというわけです。さらに、ご挨拶にうかがったご近所さんが留守だった場合にポストに投函できるというメリットもあります。

具体的には、下記のような項目を記載しましょう。

・解体工事でご迷惑をかけることのお詫びとご協力をお願いするご挨拶
・解体工事の名称、実施場所、実施期間(予定)、工事を行う時間帯、工事を休む日
・解体工事の発注者
・解体工事を実施する施工会社の担当者、連絡先

解体工事の挨拶まわりにも粗品は有効

近隣の方々へご挨拶にうかがう際には、挨拶状と合わせて手土産も用意しましょう。高級すぎるものだとご近所さんに気を遣わせてしまいますから、1,000円から2,000円ほどの「ちょっとしたもの」がおすすめです。

定番の手土産といえば、洗剤やタオル。引っ越しのご挨拶にもよく使われる品ですが、もらって迷惑にならない消耗品ですよね。そのほか、ラップや石けん、焼き菓子など日持ちのするお菓子やコーヒー・紅茶なども手頃な手土産になります。

なお、手土産にのし紙をつけるかどうかはその地域によって異なりますが、もしつける場合は「ご挨拶」という外のしにするのが一般的です。

挨拶状も手土産も、解体業者があらかじめ用意してくれていることがありますので、事前に打ち合わせしておくといいですね。

おわりに

解体工事の前に近隣の方々に挨拶しておくことは、解体工事をトラブルなく無事終了させるために大きな影響力をもつプロセスです。「情けは人のためならず」という言葉がありますが、近隣挨拶にもそれがいえます。

挨拶をしておくことは、近隣にお住まいの方々への配慮となるだけでなく、回り回って解体業者や施主ご自身にとっても非常に重要なことなのです。きちんと挨拶にうかがい、ていねいに説明することが大切です。

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