分離発注で費用を抑える! 解体工事の分離発注のメリットと注意点について

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長年住み慣れた家も、時が経つにつれて老朽化が気になる、あるいは古くなった設備が使いづらくなるといったこともあるでしょう。ライフステージの変化に伴い、必要な住まいのあり方が変わるということも。そうした事情から家を建て替える際には、まずは今建っている家を解体する必要があります。

そんなとき、解体も含めてハウスメーカーや工務店にすべて一括でおまかせするという方法は手間も少なくメリットがあるように見えますが、一方で、既存住宅の解体と新規住宅の建築を「分離発注」するという選択肢にもメリットがあるのです。

分離発注とは?

建て替えを前提に解体工事を行う場合、新しい住宅の建築を請け負うハウスメーカーや工務店が、既存の住宅の解体から新しい家の新築工事までを一括で請け負うことがあります。

しかし、そこで一括契約をせず、解体工事は専門の解体業者に依頼し、新しい家の建築はハウスメーカーや工務店に依頼するといったように、施主(依頼者)がそれぞれ別々に直接依頼・契約をするというのが「分離発注」です。

分離発注には、施主にとっては次項に挙げるようなメリットがありますが、ハウスメーカーや工務店にとっては全体を一括で請け負えない分作業が進めにくくなったり、さまざまなトラブルの懸念が生じたりする部分もあります。

そうした懸念を解消してトラブルを防止するためには、分離発注を行うにあたっては、施主(依頼者)・解体工事を担当する解体業者・建築工事を担当するハウスメーカーや工務店の三者立ち合いの場をもち、それぞれの工事範囲や担当者の連絡先などを確認しましょう。

分離発注のメリットとは?

一括契約と分離発注で大きく異なるのが、解体業者に対して中間マージン(手数料)が支払われるかどうかです。ハウスメーカーや工務店に解体工事まで一括で依頼すると、ハウスメーカーや工務店が解体業者を選定して解体工事を依頼します。そこで、ハウスメーカーや工務店から解体業者に対して中間マージンが支払われることになるのです。この手数料は当然施主の負担です。

対して、分離発注の場合は、施主が個別に依頼・契約を結びますから、中間マージンが発生することはありません。このマージンは工事費用の2割から3割にも及ぶとされますから、この部分を節約できれば大きなコストメリットになるというわけです。

ただし、その分、自分で解体業者を選定して契約するという手間が発生するのも事実です。そこで、分離発注を考えたら、まずはハウスメーカーや工務店に「自分で解体業者を探したい」と伝え、同じ条件で解体工事の見積もりを出してもらって比較してみましょう。価格差というメリットと負担増というデメリットを吟味した結果、一括契約するほうがメリットがあるという場合もあります。

分離発注をする際の注意点について

分離発注で重要なのは、信頼できる解体業者を選定するということです。解体工事を行うために必要な許可を得ているか、廃棄物を処理する際にマニフェストを発行するなど法律に則って作業を進めているかどうか、万一の事故に備えて保険に加入しているかといった点を確認しておくといいでしょう。

過去に法律に違反した履歴がないかどうかは、自治体に確認することができます。また、解体工事を下請けに出さず自社で請け負っているかという点も聞いておきたいポイントです。下請けに出しているところでは分離発注のコストダウン効果が薄れますし、トラブルのリスクも高まります。

解体業者との契約にあたっては、契約書の内容も入念にチェックしましょう。工事内容や支払う費用・方法、契約解除の方法や何か起こった際の対応など、必要事項がきちんと記載されていることを確認したうえで署名すること。口約束は論外です。

おわりに

大幅なコストダウンを可能にする分離発注は、前述のとおり依頼者の負担が増えることになりますし、複数の会社が介在することでトラブルの種も増えてしまうことにつながります。分離発注で解体工事から建築工事までを問題なく進めるためには注意すべき点をおさえておきましょう。

一括契約にも分離発注にも、それぞれメリットもデメリットもあります。ハウスメーカーや工務店、解体業者にいろいろ相談する過程をふむことで知識も深まり、信頼できる会社と契約することにもつなげることができるでしょう。

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