損をしない解体工事を! 見積書に書かれた「NET金額」とその他の用語も知っておこう
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長年暮らした家や相続したものの空き家のままになっていた住宅などを解体するには、解体工事を請け負う施工会社(解体業者)に現地調査を依頼し、必要な工程と費用を見積もってもらうというプロセスをふむのが一般的です。
その見積もりにはさまざまな項目や金額が記載されていますが、必要な費用はそれですべてなのでしょうか。また、多くの見積書に「NET金額」という項目が記載されていますが、これはどういう内容を示す金額なのでしょうか。
支払う金額がどれくらいになるかということだけでなく、信頼できる解体業者かどうかも見ることができる見積書の見方について、知っておきましょう。
解体工事の見積書記載項目について
建物の解体工事を行うには、実に数多くの工程が発生することになります。建物を解体するだけでも、事前準備として建物の周囲を養生して足場を組み、作業用の重機を搬入する必要がありますし、建物の中や敷地内に不用品があればそれを撤去・処分しなければなりません。
住宅の敷地には庭木や庭石、物置が置かれ、周囲を囲うブロック塀もあるでしょう。敷地を更地にするのであれば、そうしたものもすべて解体・撤去することになります。解体工事の見積もりでは、そうした各工程の費用とその合計が記載されています。
一般的な木造住宅の場合、見積書の項目は大きく「建物の仮設・解体工事」と「付帯工事」に分けられます。「建物の仮設・解体工事」とは、建物の養生や足場、重機の搬出入といった準備、建物の解体工事、その他諸経費など、建物の解体に関する工程の費用です。
「付帯工事」とは、建物の解体工事に伴って発生する作業を指し、屋内残置物の処分、物置やカーポート、浄化槽などの解体・撤去、ブロック塀や庭石・庭木などの解体・撤去といった作業があります。
そのほか、アスベストが使われている場合や、建物の周囲の道路が狭いといった場合には、それらの対応が必要になるため費用はさらにかかります。
よく見る「NET価格」とは?
解体工事の見積書でよく見かけるのが「NET(ネット)金額」「NET(ネット)価格」という項目です。これはどういう項目なのかというと実は明確な定義がなく、さまざまな意味で用いられる項目なのです。
そのなかでもよく使われる意味合いとしては、「マージンや手数料などを差し引いた最終的な価格」というものがあります。この場合のNET価格は「ここまでは値引きすることができます」というニュアンスを含んでおり、解体工事の依頼者が解体業者に支払う金額はこのNET価格ということになります。
ほかにも、「解体工事の原価」を示している場合もあります。これは、工事自体にかかる費用を示したもので、マージンや手数料などを含まない価格であるため前述の最終的な価格と近しいものですが、依頼者が解体業者に支払う金額とは異なる点には注意が必要です。
その他の関連用語について
前項で「マージン」という言葉が出てきました。これは、一般的には、施工会社が依頼者に請求する「料金」から工事にかかる「原価」を差し引いた利幅を意味し、「利ざや」「粗利益」と呼ばれることもあります。その分が施工会社の利益になりますが、依頼者の視点では「値引きの余地」ともとれるわけです。
また、こうした施工をするにあたっては、元請け会社から下請け会社に工事実務を依頼することがありますが、その際に元請け会社が下請け会社に支払う手数料を「マージン」と呼ぶこともあります。
見積書の「NET価格」に関連の深い用語として「グロス価格(金額)」というものがあります。これは、前項で述べた「最終的な価格」を計算する前の「諸経費や消費税を含めたトータル金額」を意味することが多いです。値引きがない場合は、グロス価格=NET価格となることもあります。
おわりに
解体工事にかかる費用は、建物の立地や状態、必要な付帯工事などによってさまざまです。さらには、工事には定価があるわけでもなく、同じような工程を安く見積もる会社もあれば、高額の見積もりを出す会社もあります。
そのようにケースバイケースとなる解体費用は、見積書の記載方法も各項目に含まれる作業も千差万別です。見積書の内容は必ず詳しく担当者に確認し、その金額で依頼できる作業の範囲や費用合計を明確にしておきましょう。