知らないと呪われるかも…? 自宅を解体する際に行うお祓いの理由と費用について

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新しく家を建てるときには、「地鎮祭」を行うことが多くあります。建築現場に小さな祭壇が設けられ、神主が祝詞をあげている場面を目にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。そして、建物を解体するときにも「お祓い」の儀式を行うことは少なくありません。

現代の日本ではこうした儀式的な慣習を踏まないケースも増えてきてはいるものの、こうしたプロセスを大事にするところもあるでしょう。解体工事の際に行うお祓いとは具体的にどういうものなのか、するとしたらいくらぐらいかかるのか、理解しておきましょう。

解体工事のお祓いとは?

建物を新築したり土木工事を行ったりする際、土地を守る神々に工事の安全を祈願するのが「地鎮祭」です。対して、解体工事を行う際には、「解体清祓い(かいたいきよはらい)」と呼ばれるお祓いを事前に実施することがあります。

これは、この建物で無事に暮らすことができたことを家屋の守り神に対して感謝し、建物を解体することの許しを得て、解体工事の安全を祈願するための儀式です。解体工事が終わって更地になったところで地鎮祭を行うことも多いことから混同されがちですが、それぞれの意味や目的は異なります。

解体工事を行う敷地に古井戸があり、工事でその井戸を埋める場合には、「井戸埋清祓(埋井祭)」いうお祓いを行うこともあります。これは、水の恵みを授ける神々にこれまでの恵みを感謝し、井戸を埋める許しを得て、今後も災いなく安全に工事を進められるようにと祈願するものです。

魂抜きとはどんなことを意味するのか?

解体工事に関連して行うお祓いには、「魂抜き」というものもあります。これは、建物にあった神棚や仏壇を壊したり移動したりする際に行います。

日本には古来「すべての物には神が宿る」という考え方があり、神棚や仏壇にも魂が宿っていると考えられています。そのため、神棚や仏壇を解体する際にはその魂を抜いて「物」に戻す必要があるというのが、魂抜きの考え方です。

こうした儀式は必須ではありませんが、怠ると災厄がふりかかると考える方もいますし、解体工事前のお祓いについては施工会社が安心して工事を進めるためにしたほうがいいと考えるケースもあります。関係者間でよく話し合って決めるのがいいでしょう。

お祓いに必要な費用について

解体工事の前に解体清祓いを行う場合には、神社の神主や宮司に依頼するのが一般的です。井戸埋清祓は神社の神主にもお寺の僧侶にも依頼できます。魂抜きは、神棚であれば神社へ、仏壇であればお寺へ依頼しましょう。

こうしたお祓いの儀式にかかる費用は、神社やお寺などの流派、依頼する対象などによっても異なりますが、一般的には2万円から3万円程度が相場とされています。それに加えて、神主・僧侶への謝礼や交通費、お供え物などにかかる費用も含めて、全体で5万円前後みておくと安心です。

解体工事前に行う解体清祓いでは、白米(新米)、日本酒、粗塩、水を用意します。お祓いを行う場所は解体する建物の1階が多いですが、スペースによっては2階や家の外で行うことも。

参列する際の服装は特に決まっていません。だらしない格好や派手なものは避けたほうがいいですが、正装でなくてもかまいません。施工会社の担当者が作業着で参列することもあります。

お祓いの平均的な所要時間は、式次第や参列人数などによってさまざまですが、およそ30分から60分程度と言われています。

おわりに

住宅の解体工事は、長年にわたって暮らしてきた家とのおわかれでもあります。個人個人の宗教観も含めて、関係する人の気持ちが揺れることもあるでしょう。

そして、お祓いには、土地や建物、物に対して、これまでお世話になったことを感謝しその気持ちを伝えるといった意味合いも大きく含まれています。

そうした状況においては、お祓いという儀式をとおして気持ちに一つの区切りがつくという側面も無視できません。

費用に余裕がないというケースもあるかもしれませんが、肝心なのは「お祓いをしたい」という人の気持ちを無視しないこと。皆が納得できる安全な解体工事を行うために、じっくりと話し合いましょう。

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