解体業には資格が必要!必要な資格・登録の全てを教えます

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日々新たな住宅が供給されるように見える日本ですが、少子高齢化などの影響を受け、建築史上は年々縮小の一途をたどっています。他方、約20年前に比べてほぼ倍増するまでに増加しているのが空き家の存在。空き家の増加は、日本で深刻化する問題の1つです。

そうしうた状況で個人が解体工事を依頼するニーズも急拡大していることから、建設業に携わってきた方が解体業へのシフトを考えたり、独立して解体業を興そうと考えるケースも増えているといわれています。しかし、解体業を始めるには必要な資格があり、誰でもすぐに事業を興せるというわけではありません。

解体業がすること

「解体工事」とは、すでに建っている建造物を取り壊す工事を指します。老朽化した建物を取り壊して撤去したり、建物を建て替えるために一旦取り壊したりといった際に行うことが多い工事で、安全に適切な工事を行うためには、専門知識や技術、重機などの機材が必要です。

この解体工事は住宅の建て替えに伴って行われることが多く、建物の構造もそれほど複雑でなかった時代には、建設工事を行う事業者(建設業者)が請け負うことができました。法律上も解体工事専門の業種というものはなく、「土木工事業」「建築工事業」「とび・土工工事業」のいずれかの許可を得ていれば解体工事を請け負うことができたのです。

しかし、建物の構造の種類も増え、解体工事に求められることが複雑化してきた状況を受け、2015年の法改正で業種区分に「解体工事業」が新設されたのです。これによって、解体業を営むためには必要な登録を行か許可を得ることが必要とされるようになりました。

解体業を営む為に必要な許可とは

解体工事を請け負う事業者(解体業者)として解体業を営むには、「解体工事登録」という登録を行うか、「建設業許可」という許可を得る必要があると法律で定められています。これは、元請け事業者となるか下請け事業者となるかにかかわらず必要です。

「解体工事登録」は都道府県知事に登録申請を行うもので、事業を営む地域ごとに登録が必要であり、5年ごとに更新しなければなりません。また、この登録を行っていても、請け負えるのは請負金額が500万円未満の工事に限られます。

「建設業許可」は、許可を得ていれば日本全国で工事を行うことができ、請負金額の上限もありません。しかし、許可を受けるためには事業者の技術管理者や提出書類などで一定の条件を満たす必要があり、その条件は解体工事登録に比べて厳しいものになっています。

もう1つ考慮しておくべきものが「産業廃棄物収集運搬業許可」です。解体工事ではたくさんの産業廃棄物が生じますので、それらを処理施設に運搬する必要があります。そのためには、自治体から「産業廃棄物収集運搬業許可」を得る必要があるのです。この許可がない場合、産業廃棄物の運搬はほかの事業者に委託することになります。

解体工事・解体業を行うための資格はそれぞれ違う

前述の資格を満たして解体業を営むことができるようになっても、それですぐに解体工事を行えるというわけではありません。解体工事にはさまざまな工程がありますが、それぞれに資格が必要となる工程が多いのです。

たとえば、解体工事を行うにあたっては足場を組み立てることが多いですが、高さ5メートル以上の足場を組み立てるには「足場の組立て等作業主任者」という資格所有者が作業にあたる必要があります。解体工事で重機を使うためには、重機の種類に応じて「移動式クレーン運転士」「建設機械施工技士」などの資格が求められます。クレーンに物をかけたり外したりするには「玉掛作業者」という資格が必要です。

解体工事に伴ってアスベスト(石綿)の撤去・除去が必要となるケースもあります。その作業も自社で請け負うためには、「石綿作業主任者」の資格取得者を選任して法令を遵守することになります。このように、さまざまな解体工事を請け負うには、さまざまな作業に対応できる資格取得者が必要となるのです。

おわりに

解体業として起業し、実際に多くの解体工事に対応していくためには、多くの資格取得が必要となります。必要な許可を得ないままに事業を行うのは法に反することになり、事業運営においても安全面でも重大なリスクを抱えることになります。

解体工事を依頼する方も、その事業者が必要な資格取得を行っているかということを契約前に確認する流れが浸透しています。解体業を営むためには、そうした法律を理解し、入念に準備するようにしましょう。

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