裁判にまで発展!?解体工事の騒音、振動に関する法律について
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解体工事を行うにあたってどうしても出てしまうのが、騒音や振動です。きちんとした解体工事の請負会社であれば、騒音や振動が最低限のものになるような準備を整え、工事の前には近隣に住む方へ挨拶にうかがうなど、十分配慮がなされます。それでもゼロにすることはできません。
そうした解体工事の騒音や振動は、度を過ぎればトラブルの原因となり、場合によっては裁判に発展してしまうこともあります。そのようなことにならないようにきちんと対応するためには、騒音や振動に関する法律をおさえておくことが望ましいです。
解体工事の騒音で裁判になったケース
解体工事の騒音というのは決して小さなものではありません。たとえ限られた期間の工事であっても、その近くに住む方にとっては、普通に生活できなくなる要因になることもあるのです。
たとえば、ある解体工事の現場では近隣の住環境に配慮した手法がとられておらず、工事の騒音が恒常的に基準値を超えていました。度を超した騒音が出るような工事では振動もひどいことが多く、騒音と振動による被害で健康を損ねる方や住居に損害を受ける方が続出。慰謝料と住居の補修費用の支払いを求めて近隣住民が提訴したのです。
裁判となれば、双方の言い分を聞いたうえで、騒音・振動の状況や被害を受けた健康状態や建物の程度、解体工事との因果関係や被告側の過失などを調べられることになります。そうした検討を経た結果、我慢する限界を超えているとされ、被告は約150万円の支払いと、支払いを終えるまで年5分の割合を支払うことを命じられました。
騒音規制法とは?
騒音は日常のさまざまな場面でトラブルの原因となりますが、特に建設や解体などの工事には相当の騒音が伴いがちです。それによって国民が健康を損ねることのないよう生活環境を保護するための決まりが、国によって定められています。それが「騒音規制法」という法律です。
この法律では、重機を使用するなど特定の条件を満たす工事を行う際には、事前に自治体に届け出を行わなければならないとされています。そして、実際の工事に伴って発生する騒音については、騒音の大きさや騒音が出る作業を継続してもいい時間、反対に作業してはいけない時間帯などが定められています。
ルールどおり届け出されなかった場合には、罰則を受けることも。定めを超える騒音などが認められた場合は、自治体が解体工事を行う会社に改善勧告などをすることができるとされています。
騒音規制法のほかにも、環境基本法に基づいて騒音についての環境基準を定めた「騒音に係る環境基準について」があります。ここでは、人の健康を保護するうえで望ましい騒音の基準について記載されています。そうしたルールを設けることによって、騒音が規制されているというわけです。
騒音調査会社
ここまで騒音について説明してきましたが、同じ音の大きさでも苦痛に感じる方もいれば、特に気にならないという方もいます。騒音で被る迷惑も、近隣の環境や人の感じ方によって異なります。そこで、明確な基準の一つとして使われているのが、「デシベル(db)」という単位で示される音の大きさや強さです。
一般的に、騒々しい街頭やオフィスが70db、カラオケ店の中が90dbといわれており、環境省で定められている騒音の基準は85db。これを超えると、不快に感じる度合いが高まるとされています。それに対して解体工事の現場でどのぐらいの音が出ているのかというのは計測することができます。
最近は音量を測れるようなスマートフォンのアプリもありますが、きちんと計測するなら騒音の調査会社に依頼して専門の機械で計測するのがいいでしょう。解体工事の請負会社に工事を依頼する際には、こうした対応も相談しておくと安心です。
おわりに
近年は、騒音や振動の測定値を表示する工事現場も増えてきました。それだけ騒音や振動に対する注目が集まっているということでもあり、測定値を公開することは近隣の方に安心感や信頼感を醸成することにもつながります。
解体工事を行ううえでは、騒音や振動をゼロにすることはできません。それでも、騒音や振動を最小限におさえて近隣の方々へ極力迷惑をかけないようにするには、工事の施工会社にまかせきりにせず、解体工事を依頼する側もきちんと目を配ってことにあたるのが重要といえるでしょう。