解体工事は「足場」がいのち。 解体工事現場における足場の重要性と安全対策について

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  • 解体工事の足場とは?
  • 足場の役割って? 重要なの?
  • 足場を使用するには決まりがあるの?

本稿ではこうした足場に関する疑問にお答えしていきます。
解体工事現場では、足場をよく見かけます。足場は解体工事をする上で欠かせない存在であり、足場が悪いと事故やトラブルに繋がってしまうのです。
足場の重要性や安全対策について確認していきましょう。

解体工事における足場の役割と必要な申請について

解体工事における足場利用のポイントをまとめると以下の通りです。

  • 足場とは仮設の作業床のこと
  • 騒音や飛散物防止に役立つ
  • 足場を使うには申請書が必要

安全に解体工事を行う上で足場は欠かせません。足場の役割に関するポイントをそれぞれ詳しく解説していきます。

足場とは仮設の作業床のこと

解体工事の足場とは、解体する建物の周りをグルリと囲むように組み立てる作業床のことです。素材は、木材や金属管などがさまざまです。
足場を組むことで、高所であっても作業員が作業したい場所に足を置いておくことが可能になります。
作業員が動く経路である「動線」を確保し、安全に作業できるようにするのが足場の役割だといえるでしょう。

騒音や飛散物防止に役立つ

足場の役割は、作業員の動線を確保するだけではありません。
解体工事をしていると、建物を壊した一部や埃が周囲に飛散し、周辺の建物を壊してしまったり汚してしまったりすることがあります。
さらに、解体のための重機による騒音による近隣トラブルも絶えません。
これらの騒音や飛散物トラブルも、足場を組むことで軽減させることが可能です。
「養生シート」とよばれる分厚いシートで足場を囲うことで、騒音をおさえて、飛散物を防止することができます。

足場を使うには申請書が必要


解体工事に欠かせない足場ですが、利用には申請書が必要です。
足場が敷地内に収まる場合は「道路使用許可」を、敷地内に収まらず周辺の敷地を利用する場合は「道路占用許可」「道路使用許可」を届出します。
ただし、これらは依頼主が行うものではありません。基本的に解体工事をする業者が届け出を代行します。しかし、一応頭の中に入れておくと良いでしょう。

解体工事で足場にかかる費用とは?

足場の単価は1㎡あたり800円程度、養生シートの単価は200円程度が必要とされています。
30坪程度の家ならば20万円程度が必要になるといえるでしょう。
ただし、これはあくまで目安です。
足場の費用は一概にいくらであるかをいうことができません。
なぜなら、足場の大きさは解体する建物の大きさだけでなく、立地条件などの影響も受けるからです。
足場が組みやすい場所ならば足場代金が安くなります。一方で高低差があるなどの立地条件が悪い建物ならば、足場が組みにくいという理由で足場代金が高くなります。

また、解体業者の中には、足場は、下請けに任せて自社では組まないというケースも多くあります。自社で足場を組む場合と下請けに任せる場合では費用に開きが出てくるといえるでしょう。

業者や建物の事情は、費用に大きく影響を与えます。まずは複数社に見積もりを依頼して、自身の建物の足場の相場を見極めましょう。

足場の正しい設置の仕方と安全対策について

足場の正しい設置の仕方はどのような方法なのでしょうか? 安全対策のとり方についてもみてみましょう。

養生シートを見れば足場を見極められる

足場が正しく設置されているかは素人には判断が難しい部分があるといえるでしょう。
簡単な足場の見極め方法としては「養生シート」を確認するということがあげられます。汚いシートや破れがあるシートを使ってしまうと、機材などが引っかかり大事故に繋がってしまうのです。
正しい足場を設置している業者は、破れたり穴が空いていたりする養生シートは使いません!
シートがきちんとしているか否かは、足場が正しく組まれているかを判断するバロメータになります。

足場に関する「労働安全衛生規則」

足場は「労働安全衛生規則」というものが定められていて、この規則に則って安全対策をしていかなくてはなりません。
内容を簡単にまとめると以下の通りです。

  • 足場の組立時には安全帯などの墜落防止措置を行う
  • 足場の組立には特別教育を実施する
  • 足場組立後は注文者も点検をする
  • 足場の床材と建物の隙間は12センチ未満とする
  • 足場の作業台から手すりなどを取り外す際は関係者以外の立入を禁止する

このように解体業者は足場の安全性を確保しています。ただし、絶対に事故が起きないという保証はありません。
解体工事は一般の工事に比べて、足場からの落下などの事故が多いです。ですから、万一のために賠償保険への加入も検討しておきましょう。

まとめ きちんとした足場を設置し安全性を確保しよう!

足場は作業員の動線を確保するだけでなく、騒音や飛散物防止に役立ちます。きちんとした足場を立てれば、安全性が高まり周辺とのトラブルも回避可能です。
養生シートの手入れが良ければ足場も安全に設置されている可能性が高いといえます。
足場は業者によって費用に差があり、ついつい安い見積もりの業者を選びがちです。しかし、安い業者を選んだ結果、不備のある足場が設置されて、大事故が発生してしまっては意味がありません。
安全性と費用のバランスを大切にしながら、解体業者を選んでいきましょう。

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