家の解体後は建物滅失登記を忘れずに! 必要書類や申請方法を解説

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日本全国で空き家の増加が深刻化したことにより「空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策特別措置法)」が施行され、これまで空き家のままにしていた家を解体する必要に迫られるケースが増えてきました。

しかし多くの人にとっては、家の解体は初めての経験です。最初に解体業者を選ぶ段階からすでにどうしていいかわからないという方も少なくないでしょう。家の解体の前後には、法律で定められたさまざまな申請・手続きが必要になります。そのなかの1つである「建物滅失登記」も重要な手続きですので忘れずに行いましょう。

建物滅失登記とは?

法務局の登記簿にある建物が解体などで存在しなくなった場合、そのことを登記しなければなりません。その手続きが「建物滅失登記(たてものめっしつとうき)」で、不動産登記法という法律で定められています。

建物滅失登記は申請義務になっており、解体業者ではなく施主自身が行います。建物や家屋を解体したらその1カ月以内に登記の申請をしなければならず、怠ると10万円以下の過料を科されることがあるほか、下記のようなデメリットがあります。

・土地を売却することができない
・建物を解体したのに、建物の固定資産税の課税が終わらない
・新たな建物の建築許可がおりず、建て替えを進められない

自身が住む住宅を建てたり駐車場にして貸し出したり、あるいは売りに出したりと、解体後の土地はさまざまな方法で活用を考える方がほとんどでしょう。ところが、建物滅失登記の手続きを怠ることで、そうした活用もできなくなってしまうのです。

建物滅失登記の申請に必要な書類

建物滅失登記の手続きを行うには、次の必要書類をそろえて提出する必要があります。解体業者から必要書類を発行してもらわないと手続きできませんので、期間内に手続きを終えられるよう、書類の発行予定を事前に解体業者に確認しておきましょう。

・建物滅失登記申請書(原本とコピーを1部ずつ)…法務局のWebサイトから書類をダウンロードできます
・取毀し(とりこわし)証明書…解体業者が発行する書類
・解体業者の印鑑証明書
・解体業者の登記事項証明書または会社謄本(自治体によっては必要)
・解体した建物の位置を記した地図

解体した建物の所有者がすでに亡くなっている場合は、上記に加えて次の書類が必要になります。

・亡くなった方の戸籍謄本か除籍謄本
・亡くなった方の住民票の除票または戸籍の附表
・相続人であることを証明する戸籍謄本(亡くなった方の戸籍の中に、相続人が記載されていない場合)

なお、この手続きは土地家屋調査士という登記の専門家に委任することができます。委任する場合には上記に加えて委任状と自身の印鑑証明を用意する必要がありますが、登記申請書は土地家屋調査士が作成するため不要になります。

建物滅失登記の申請方法

建物滅失登記の手続きを行う際には、前項の必要書類を用意して管轄の法務局に持参します。自治体によっては、上記に加えて発行後3カ月以内の印鑑証明書と実印が必要になることがあります。法務局へ直接持参するのではなく、郵送で提出して手続きすることも可能ですが、書類に不備があった場合は法務局に出向いて修正する必要が生じます。

手続きには1週間程度かかり、完了すると「登記完了証」が交付されます。これは建物滅失登記が完了したことを証明する大切な書類ですので、きちんと保管しておきましょう。合わせて、法務局から各自治体へ通知が送られ課税台帳からはずされることになります。

いずれも手続きは無料ですが、登記申請書に記載するためにあらかじめ建物の登記情報を確認する必要があり、登記簿謄本(全部事項証明書)の取得に1通1000円程度の費用がかかります。

家の解体後は建物滅失登記を忘れずに

建物滅失登記は、「知らなかった」では済まされない重要な手続きです。家屋などの解体を行ったら、迅速に手続きしましょう。そのために解体業者の書類発行が不可欠です。信頼できる業者であれば問題なくそろえられるはずですので、解体業者との契約に際しても確認しておきたいところです。

また、手続きを土地家屋調査士に委任する場合は代行費用として4万円から5万円程度かかります。手続きに煩わされたくないと考える方は委任を検討するのも有効ですが、比較的簡単な手続きであるため、費用を節約したいと考える方は自身で十分トライできる内容でもあります。

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