高層ビルの解体ってどうすればいい?狭い日本を支える最新の解体技術まとめ
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1890年に東京・浅草に建てられた高さ52メートルの凌雲閣以降、1968年の霞が関ビルディング147メートル、1993年建設の横浜ランドマークタワー296メートル、2014年建設のあべのハルカス300メートルと、高層ビルは競うようにその高さを伸ばしていっています。
ビルがその高さを増せば、建設時だけでなく、解体時にもその高さに対応しなければなりません。建て替えの必要性の高まりに伴い高層ビルの解体の必要性も増えており、対応するための解体技術も日々進歩しているのです。
超高層ビルの解体について
日本では、建築基準法の定義などから高さ60メートルを1つの目安とし、それ以上のビルが「高層ビル」「超高層ビル」と呼ばれます。
そして高度経済成長期以来、地上73メートルのホテルニューオータニ(1964年、東京)や、地上147メートルの霞が関ビル(1968年、東京)を皮切りに、高層ビルの建設が相次ぐこととなりました。
ということは、とりもなおさず、建てられてから数十年が経過している高層ビルが増えているということでもあります。それだけ時間が経てば、建物や設備は老朽化しますし、最新のIT化やオフィス環境に対応しきれないところも出てきます。
そうした事情から、現代では建て替えが必要となる高層ビルが相次ぎ、それに伴って高層ビルの解体が増えているのです。
超高層ビルの最新解体方法
なかには100メートルを超えるような建物もある高層ビル・超高層ビルの解体は、建物が高さを増すほど解体するものが増えますし、重機の使用なども困難に。
解体工事では騒音や粉塵飛散、振動などが発生することから周囲への対策が不可欠ですが、高層ビルではそうした配慮がさらに求められることになり、その解体は容易ではありません。
そうした高層ビルや超高層ビルを安全に、かつ効率的に解体するべく、大手ゼネコンを中心にさまざまな解体方法が開発されています。
たとえば、大成建設が開発したのが「テコレップシステム」と呼ばれる解体手法。
これは、最上階から建物の上部を防音パネルで覆って空間を閉鎖し、そのなかの建物を解体。解体が終わったらその下を解体……というように、まるで新築工事を“巻き戻し再生”するように上階から順々に解体することができます。
この手法は、1階層ずつ解体してジャッキダウンできるため、足場の移し替えなどの危険を減らすことができますし、騒音や粉塵などが周辺へ散乱するのを防止できる効果があります。荒天で作業を中断するといったこともなくなるため工期の短縮にもなるのです。
こうしたことから、前述のグランドプリンスホテル赤坂や大手町フィナンシャルセンターの解体に採用されました。
鹿島建設の「鹿島カットアンドダウン工法」は、解体するビルを油圧ジャッキで支えながら、まるで“だるま落とし”のように下階から解体していきます。
従来の高層ビルの解体は、重機を最上階につり上げて上から壊していくのが主流ですが、鹿島カットアンドダウン工法では解体作業は地上付近で行われるため、騒音や粉塵の飛散を抑えることが可能です。
加えて、最後まで屋根が残るため、解体現場が雨で濡れることも防止できます。それによって、内装材のリサイクルも9割以上に高めることに成功。
地上75メートルあった同社の旧本社ビル(2008年、東京・元赤坂)や、地上108メートルのりそな・マルハビル(2012年、東京・大手町)の解体工事で採用された実績があります。
今後盛んに行われると予想される超高層ビル解体
高層ビル・超高層ビルの建て替え需要は続いており、それに伴う解体工事も今後も引き続き行われていくのでしょう。
そしてさらにもう1つ、高層ビル・超高層ビルの解体がより一層進むと予想されるようになる出来事がありました。2020年の東京五輪開催決定です。
東京五輪の開催に向けて、さまざまな地域で再開発の気運が高まっていますが、再開発を行うためにはすでに建っている高層ビル・超高層ビルを解体する必要が生じます。そうしたことから、今後解体工事はさらに盛んに行われる可能性があると考えられるのです。
おわりに
海外では、高層ビルを爆破して解体するようなケースもみられますが、日本では周辺環境などの事情からそうした手法をとることは難しく、単純に粉砕して取り壊せばいいというわけにはいきません。
そのように制限がかかる環境のなかで、周辺環境への迷惑を最小限におさえ、静かで安全に高層ビルや超高層ビルを解体する日本の技術は、世界でも類を見ないものとされ、注目を集めています。