解体しようとしたら…超有名人物の〇〇だった!?解体工事でよくある遺跡発掘とは
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土地に新しく建物を建てようとしたら、地中に石器や土器などの遺物が埋まっていたということがあります。このために、埋蔵文化財のあるような土地への家屋建築は、先に土地調査もしないとならず、通常よりも手間がかかるのです。
目次
遺跡大国日本
日本で遺跡があり、石器や土器があるのは、奈良や京都など古い歴史のある地域のみと考えるかもしれません。
日本は約13万年前に石器時代が始まり、1万6千年前には土器や石器を使っていた縄文時代があります。このために、日本全体が遺跡の多い国なのです。
地面を爆撃で粉々にするような、激しい戦争が少ないというのも、昔からある日本の遺跡を残しやすくしています。
遺跡日本全国は46万ヶ所
地中にある石器や土器が埋蔵文化財です。主に遺跡のある場所に埋まっていることが多いですが、長い歴史のある日本では、どの地域でも埋蔵文化財がある可能性があります。遺跡は全国に46万カ所もあり、毎年9千件ほどの発掘調査が行われています。
誰でもわかる埋蔵文化財の場所
埋蔵文化財の埋まっている土地は、埋蔵文化財包蔵地と言います。宅地建物取引法四十七条で、土地を購入する相手には埋蔵文化財があるなら口頭で告げる必要があると記されています。
参考URL: 宅地建物取引業法
また口頭での説明がなければ、契約時の重要事項説明書に埋蔵文化財の記載があるか確認すれば、土地に石器や土器が埋まっているかがわかるのです。
ただし口頭での説明を聞き逃すこともあり、書面での告知は義務でないので、必ずしも埋蔵文化財包蔵地かどうか、事前にわかるとは限りません。
不安な場合には、その地域の自治体に問い合わせてみると良いでしょう。自治体であれば、遺跡地図および遺跡台帳に埋蔵文化財包蔵地の区域を表示しているので、どこに文化財があるか把握しています。
埋蔵文化財包蔵地以外からの出土
埋蔵文化財包蔵地でないので、大丈夫だろうと思っていても、発掘されていない文化財は多いです。地下室を作るときや、基礎工事で地中を掘るときに、埋蔵文化財包蔵地以外から文化財が見つかることもあります。
もちろん、このようなケースで文化財が見つかれば、その扱いをどうするか決めてから、土地利用をどうするか考えることとなるでしょう。
試掘と本掘について
埋蔵文化財があるとわかっている土地は、周知の埋蔵文化財包蔵地と言われており、土地に家を建てるなど、土地利用をするには、以下のことを行わないとなりません。
1.周知の埋蔵文化財包蔵地を土木工事等の目的(埋蔵文化財の調査の目的を除く)で発掘しようとする者は、発掘に着手する日の60日前までに文化庁長官に届出をしなければならない(文化財保護法第93条第1項で準用する第92条第1項)。
2.届出をした発掘に対し、埋蔵文化財の保護上、特に必要があるときには、文化庁長官は発掘前に、記録の作成のための発掘調査など必要な事項を指示することができる(文化財保護法第93条第2項)。
引用 : 文化財保護法第92条
つまり、埋蔵文化財包蔵地での土木工事を行うときは、事前に届け出をして、現状保存できないとなれば、調査し地中にある文化財の扱いをどうするか決めないとならないのです。
また埋蔵文化財包蔵地以外の土地を掘り起こし、文化財が見つかっても、同じように調査をする必要があります。
発掘調査では試掘と本掘があり、本掘を行うとなれば開発事業者が費用負担です。当然のことながら、土地を掘っていき調査するので、この期間中、土木工事はストップしてしまいます。
試堀
これは試し堀りのことです。対象の土地で、試しに何カ所か掘ってみて、結果を見て本格的な発掘調査を行うかどうか決め、調査は自治体で行い、土木工事関係者が立ち会います。
本掘
試掘で地中から石器や土器が見つかれば、次は本掘です。これは、その土地全体を掘っていき、全ての埋蔵文化財を探し出します。
土地の広さによっても違いますが、3週間~2ヶ月程度調査に時間を要します。本掘での調査費用は、土地開発関係者が負担となり、売り主か買い主が話し合い、どちらかが負担です。
滅多にないですが、貴重な遺跡が発掘されれば、調査には数年かかり、場合によっては土地開発が中止になる場合もあります。またマンションを建てるような土地だと、費用は数千万円もかかると言われています。
驚くべき解体現場の事例
遺跡や歴史的建造物が見つかることは近年まで続いています。嘘のような本当の話を紹介します。
大久保利通の茶室が見つかる
京都市上京区の住宅解体工事の現場に、大久保利通の茶室「有待庵(ゆうたいあん)」が残っていたことが確認された。市が30日発表した。幕末に大久保が住んでいた旧邸跡にあり、工事中に歴史研究者が発見し、市に連絡。市は所有者から部材などの寄付を受け、移築した上で保存・活用する方針だ。
引用:密議の場? 大久保利通の茶室、住宅解体現場で見つかる:朝日新聞デジタル
京都の住宅解体現場から、地中ではなく地表に建てられていた大久保利通の茶室が見つかりました。市の方針で、移転を前提として解体工事を行うようです。また保存や移転のためには多額の費用がかかるため、募金を募る予定とのことです。
出雲氏の建物跡が見つかる
飛鳥時代から奈良時代にかけて京都市北部の賀茂川西岸で勢力を誇った出雲氏の屋敷とみられる建物跡が、京都市の上京遺跡から出土したことが11日、分かった。
引用:一大勢力、出雲氏の建物跡か 京都・上京遺跡から出土(1/2ページ) – 産経WEST
見つかったのは、上御霊神社北西隣のマンション建設予定地です。大規模な建物跡となっており、本格的な遺跡が見つかるのは珍しいようです。土地広範囲に及び、数年単位の調査が行われることでしょう。
おわりに
家を建てようと、基礎工事のために土地を掘ったら、土器や石器、遺跡が見つかるということは、珍しくありません。埋蔵文化財包蔵地であれば、最初は試掘して、何も見つからなければすぐに土地開発を再開できます。
何か文化財が見つかれば、本掘となって大規模調査を行い、長い間土地開発工事が中断することもあることを覚えておきましょう。