他人ごとではない! 解体現場での事故で命を落とす可能性も。事故事例と安全対策について


大きな重機を使って住宅やビルを取り壊す解体工事は、常に危険ととなりあわせの現場です。工事現場を目にして迫力と同時に危険を感じることもあるでしょうし、テレビのニュース番組で工事の事故が報じられているのを見て、こわいと思ったこともあるのではないでしょうか。

ふだんの生活においては、そうした解体工事の現場で起こる事故はどこか“他人ごと”のように感じられてしまうかもしれません。しかし、住まいの近くで工事をしていれば事故に巻き込まれる危険もないとはいえませんし、自身が解体工事を依頼する立場になればなお密接な関わりをもつことになります。

解体現場の事故には2種類ある!

日本全国で数えきれないほど行われてきた解体工事の現場では、残念ながらさまざまな事故が発生しています。そうした事故が起こる原因も多種多様ですが、大きく分けると2種類の要因があります。

1つ目は、工事作業を担当する作業員の不注意によるものです。たとえば、足場で足をすべらせて転落してしまいけがをする、ブレーカーを落としていないのを見落としたまま電線を切断して感電してしまうといったケースが該当します。

2つ目は、解体工事を請け負う解体業者が安全対策を怠ったためにおこるものです。人件費を削減しようと警備員の配置を行わなかったために、通行車両と工事用重機の衝突事故が発生するといったケースは典型的な例といえます。

また、有害物質として知られるアスベストが使われている建物では、アスベストの除去を行ったうえで建物の解体工事を進めなければなりませんが、費用や工事期間の面から除去を怠ったためにアスベストの飛散を招いてしまうといった重大な事故もあります。

事故事例3つ

外壁の崩落

2003年に静岡県で発生したのは、コンクリートでできた外壁を解体しているときにその一部が道路に落下し、通行していた自動車が下敷きになってしまったという事故です。車内にいた方のうち2名の方が死亡、負傷者も数名という大きな事故でした。

解体作業時、不安定な外壁はワイヤーなどでしっかり固定しながら作業を行う必要がありますが、工事期間短縮などの目的で安全のための手順を怠ったことが原因となり、こうした事故が起こってしまいました。

火災事故で隣家全焼

2017年には、千葉県のある木造住宅を解体している過程で火災が起こりました。幸い死傷者は出ませんでしたが、隣の木造家屋を全焼してしまうという被害が発生しています。

解体工事の現場では、ガス管の切断や溶接などの作業を行うこともあり、高所では強い風にさらされることも少なくありません。ガス漏れや飛び散った火花から引火して火災につながってしまうということも十分あり得るのです。

足場の倒壊・落下

2012年、兵庫県の現場で起こった災害は、解体工事を行うための足場が強風で倒壊し、近くを走っていた自動車を直撃したというものです。2016年には、足場の解体時に鉄パイプが落下して下を歩いていた通行人に直撃してしまうという死亡事故も起こっています。

解体工事の現場では、足場にかかわる事故は多いです。足場の上で作業する作業員には転落の恐れが常につきまとうため、安全帯の使用や親網の設置などが必須とされていますが、そうした対策を怠ることが事故の原因につながります。

自分の身は自分で守ろう! 安全対策について

こうした事故を防止して自分や周囲の方の身を守るためには、「解体工事を依頼する立場」になった場合に工事の安全対策に十分留意することが肝心です。

そのためにまず必要なのは、解体工事に十分な予算・期間を確保して、解体業者に無理な工事を要求しないことです。工事期間の無理な短縮や極端な値引きを求め、それを解体業者が受け入れるということは、その代償として“何か”が省かれるということです。

その“何か”になりやすいのが安全面への配慮など、工事の施工に直接的にかかわりづらい部分です。費用を安くおさえたいという気持ちがあっても過度な値引き交渉などは避け、法律を守って安全に工事を進められるようにしましょう。

おわりに

信頼できる解体業者は安全対策をしっかり施しますし、作業員にも安全教育を徹底しています。それでも、事故を完全にゼロにするのは難しいものです。通行人の立場では事故を予見しがたく、自分で避けるといっても工事現場の近くをなるべく通らないといったことぐらいしかできません。

大事なことは、自身が解体工事を依頼することになったとき、「事故を起こさない」という意識をもってあたることです。それが巡り巡って、工事の作業員や近隣の方、そして自分や家族を守ることにつながります。


関連する記事